試合中にミスをする。
大事な場面で失点に絡む。
練習でうまくいかない。
思ったようなプレーができず、心が沈む。
人は誰でも崩れることがあります。
どれだけ強そうに見える選手でも、経験のある指導者でも、落ち着いて見える大人でも、心が揺れる瞬間はあります。
だから私は、最近こう思うようになりました。
本当に強い人とは、まったく崩れない人ではない。
崩れても、また戻ってこられる人なのだと。
人は出来事の後の言葉で崩れていく
人は、ミスや失点そのもので崩れるのでしょうか。
もちろん、その瞬間はショックを受けます。
「あっ」と思う。
胸がざわつく。
身体が固くなる。
でも、本当に崩れていくのは、その後かもしれません。
「またやってしまった」
「自分のせいだ」
「次もミスしたらどうしよう」
「早く取り返さなきゃ」
こうした心の声が続くと、身体はさらに固くなります。
視野が狭くなり、判断も遅れます。
ミスは一回だったのに、心の中では何度も同じミスを再生してしまう。
これが、崩れていく流れです。
しかも、本人は真面目に頑張ろうとしていることが多いのです。
「取り返さなきゃ」
「もう失敗できない」
「ちゃんとやらなきゃ」
その思いが強くなりすぎると、かえって動けなくなることがあります。
戻れる人は、自分を立て直す流れを持っている
崩れても戻れる人は、特別に心が強い人ではありません。
自分を立て直す流れを持っている人です。
流れはシンプルです。
まず、自分の心の声に気づく。
「今、自分はまたダメだと思っているな」
「次もミスしたらどうしようと思っているな」
次に、いったん止まる。
深呼吸をする。
顔を上げる。
足の裏を感じる。
水を飲む。
そして、自分を勇気づける言葉に書き換える。
「まだ終わっていない」
「次の一つに集中しよう」
「今できることをやろう」
「大丈夫。戻れる」
最後に、次の一歩に戻る。
次の守備。
次の声。
次のパス。
次の準備。
この小さな流れを持っている人は、崩れても戻りやすくなります。
今日からできる小さな一言
選手なら、ミスをした時にこう言ってみる。
「次の一つ」
これだけでも、意識は少し前に戻ります。
指導者なら、ミスをした選手にすぐ原因を問い詰める前に、こう声をかけてみる。
「大丈夫。次に何をする?」
この一言で、選手は過去のミスから次の行動に戻りやすくなります。
崩れても戻れる力は育てられる
大切なのは、崩れないことを目指しすぎないことです。
人は崩れます。
選手も崩れます。
指導者も崩れます。
保護者も崩れます。
それでいいのだと思います。
問題は、崩れることではありません。
戻り方を知らないことです。
自分の心の声に気づく。
いったん止まる。
勇気づける言葉に書き換える。
次の一歩に戻る。
この流れを少しずつ練習していくことで、心は戻りやすくなります。
メンタルが強い人とは、崩れない人ではありません。
崩れても、また戻ってこられる人です。
そして、仲間が崩れた時に「戻れるよ」と伝えられる人です。
そういう人がいるチームは、きっと強くなっていくのだと思います。
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