小学生にも伝わった「安心と基準」のチームづくり
いいチームとは、どんなチームでしょうか。
強いチーム。
勝てるチーム。
技術が高いチーム。
もちろん、それも大切です。
でも育成年代では、もう一つ大切にしたい視点があります。
それは、子どもたちが生き生きしているかどうかです。
先日、ある小学生サッカークラブの選手と保護者の皆さんに向けて、オンラインセミナーを行いました。
その中で、「安心」と「チームのあたりまえ」について一緒に考えました。
大人向けには「安心と基準」と言うことが多いのですが、小学生には少し難しい。
そこで今回は、「基準」を「チームのあたりまえ」と言い換えました。
この言葉の方が、子どもたちには伝わりやすかったように感じます。
安心だけでは、ゆるくなる
子どもたちが安心してプレーできることは、とても大切です。
ミスしても責められない。
わからないことを聞ける。
仲間に声をかけられる。
もう一回チャレンジできる。
こうした安心があると、子どもは伸びやすくなります。
ただし、安心は「何をしてもいい」という意味ではありません。
準備をしない。
話を聞かない。
道具を大切にしない。
仲間への声かけが雑になる。
これでは、安心ではなく、ただのゆるさになってしまいます。
安心は大切です。
でも、安心だけではいいチームにはなりません。
あたりまえだけでも、ギスギスする
一方で、チームにはあたりまえも必要です。
時間を守る。
あいさつをする。
道具を大切にする。
人の話を聞く。
最後までやり切る。
こうしたことは、サッカー以前に大切な土台です。
ただ、あたりまえばかりが強くなりすぎると、チームは苦しくなります。
ミスを怖がる。
怒られないようにプレーする。
言いたいことが言えない。
仲間の目を気にしすぎる。
これでは、子どもたちは伸び伸びプレーできません。
あたりまえは大切です。
でも、安心がないと、基準は押しつけのように感じられてしまいます。
目指したいのは、生き生きするチーム
セミナーでは、チームの空気を四つに分けて考えました。
安心はあるけれど、あたりまえが弱いチームは、ゆるくなりやすい。
あたりまえはあるけれど、安心が弱いチームは、ギスギスしやすい。
安心もあたりまえも弱いチームは、あきらめの空気になりやすい。
では、目指したいのはどこか。
安心もあり、あたりまえもあるチームです。
言いたいことが言える。
ミスしても戻れる。
でも、準備やあいさつ、片付け、仲間への関わりは大切にする。
こういうチームでは、子どもたちが生き生きします。
安心があるからチャレンジできる。
あたりまえがあるから、チームとして締まる。
この両方が必要なのだと思います。
3つのチームのあたりまえ
今回、子どもたちには大切にしたい「あたりまえ」を三つに絞って伝えました。
一つ目は、じぶんを整える。
自分で準備する。
人の話を聞く。
道具を大切にする。
これは、プレー以前の土台です。
自分の準備が整っている子は、練習にも入りやすい。
道具を大切にできる子は、自分のプレーも大切にしやすい。
二つ目は、もう一回を楽しむ。
ミスしても戻る。
まずチャレンジしてみる。
最後まであきらめない。
サッカーでは、うまくいかないことがたくさんあります。
だからこそ、「もう一回やってみよう」と思える空気が大切です。
三つ目は、みんなを明るくする。
元気にあいさつする。
責めずに声をかける。
ありがとうを言う。
強いチームは、プレーだけでなく空気もつくっています。
誰かがミスした時に、責めるのか。
それとも、次に戻れる声をかけるのか。
その小さな違いが、チームの雰囲気を変えていきます。
あたりまえは、押しつけるものではなく育てるもの
セミナー後、子どもたちからは、明日からやってみたいこととして、あいさつ、道具を大切にすること、良い声かけ、チャレンジ、切り替えなどが挙がっていました。
ここに大事なポイントがあります。
大人が一方的に「これをやりなさい」と言うだけでは、あたりまえは根づきにくい。
子どもたち自身が、
「明日からこれをやってみよう」
と選ぶことが大切です。
小さくても、自分で選んだ行動は続きやすい。
そして、自分たちで選んだあたりまえは、チームの文化になっていきます。
大人自身も、問い直す
今回、あるコーチから印象的な気づきがありました。
「3つのあたりまえが、自分自身できていない部分がある」
これは、とても大切な気づきだと思います。
子どもに求める前に、大人自身はどうか。
自分を整えているか。
もう一回を楽しめているか。
周りを明るくする言葉を使えているか。
指導者や保護者も完璧ではありません。
だからこそ、子どもと一緒に育っていけばいいのだと思います。
チームづくりは、子どもだけを変えることではありません。
大人の関わり方も含めて、空気をつくっていくことです。
安心は甘さではない。あたりまえは押しつけではない。
安心は、甘やかしではありません。
子どもが次の一歩に向かえる土台です。
あたりまえは、押しつけではありません。
みんなが気持ちよくサッカーをするための約束です。
安心だけでは、ゆるくなる。
あたりまえだけでは、ギスギスする。
両方がある時、子どもたちは生き生きします。
これは小学生のチームだけでなく、中学生、高校生、大学生、そして大人の組織にも通じるテーマです。
安心と基準をどう両立するか。
言葉を変えれば、安心とチームのあたりまえをどう育てるか。
その問いを持ち続けることが、崩れても戻れるチーム文化につながっていくのだと思います。
コメントを残す