“ちゃんとしている人”ほど、苦しくなる理由

最近、ある新入社員とのセッションで、とても印象的な話がありました。

その子は、とても真面目です。

周囲への気配りもできる。
空気も読める。
責任感も強い。

現場でも、

「先輩にどう見えるか」
「周りに迷惑をかけていないか」

を、かなり意識して動いていました。

一方で、同期の子はかなり自由なタイプ。

挨拶を忘れる。
現場をフラフラ歩く。
興味があるものを見るとすぐ動く。

本人に悪気はない。
でも、真面目な子から見ると、かなり気になる。

「なんでそんな行動するんだろう…」
「先輩に悪く思われないかな…」
「チームの印象が悪くならないかな…」

そんな不安がどんどん膨らんでいく。

実はこれ。
育成年代でも、職場でも、家庭でも、本当によく起きます。

そして、ここで大事なのは、

“ちゃんとしていない人”

を変えることではありません。

もちろん、
危険なことや迷惑行為は伝える必要があります。

でも、多くの場合、
真面目な人ほど、

「自分が何とかしなきゃ」

を背負い始めます。

すると、
どんどん苦しくなる。

心理学では、
これを「課題の分離」が曖昧になっている状態と表現することがあります。

簡単に言うと、

“相手の課題まで、自分の責任として抱えてしまっている”

状態です。

今回のケースでも、
その子は同期の行動をかなり細かく観察していました。

でも、よく話を聞いていくと、
根っこには、

「先輩に迷惑をかけたくない」
「現場をちゃんと守りたい」

という優しさと責任感がありました。

つまり、
問題なのは“性格の悪さ”ではなく、

“責任感が強すぎる”

ことだったんです。

もちろん、
社会人として学ぶべきマナーや姿勢はあります。

でも、人はすぐには変わりません。

だからこそ必要なのは、

「必要なことは伝える」
「でも、変わるかどうかまでは背負わない」

という境界線です。

これは冷たさではありません。

むしろ、
長く人と関わるために必要な優しさです。

実際、
真面目で優しい人ほど、
他人の問題を抱え込みやすい。

部活でも、
職場でも、
家庭でも。

だから私は最近、

“ちゃんとしている人ほど、境界線が必要”

だと感じています。

そしてもう一つ。

今回、その子がすごく楽しそうに話していた瞬間がありました。

施設イベントで、子ども向けの射的屋台をやった時の話です。

子どもたちの笑顔。
恥ずかしそうに遊ぶ子。
夢中になる子。

その話をしている時だけ、
表情も声も、まるで違った。

私はその瞬間、

「あ、この子は“人を支える側”の力を持っているな」

と感じました。

人は、
“ちゃんとしなきゃ”
だけでは長続きしません。

でも、

“好き”
“楽しい”
“嬉しい”

が見つかると、
自然にエネルギーが湧いてくる。

だから、
育成で本当に大切なのは、

「問題を減らすこと」

だけではなく、

「その人の“好き”や“自然に力が出る場所”を見つけること」

なのかもしれません。

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