最近、ある高校サッカー選手とのセッションで、
とても象徴的な変化がありました。
冬頃の彼は、かなり不安が強い状態でした。
本人の表現を借りると、
「心のコップが不安で100%近く埋まっている感じ」
です。
すると、プレーにもかなり影響が出ていました。
周囲が見えない。
声が出ない。
判断が遅れる。
プレーが固くなる。
本人も、
「頭が真っ白になる感じがある」
と言っていました。
例えば、ボールを持った瞬間、
本当は見えているはずの味方が見えない。
すると判断が遅れる。
焦ってプレーする。
ミスが増える。
さらに不安になる。
そんなループです。
ただ、今回面白かったのは、
最初に取り組んだのが、
“プレー”
ではなく、
“コミュニケーション”
だったことなんです。
彼とはまず、
チームメイトとの関係性を、
A・B・Cグループに整理しました。
A=安心して話せる
B=普通
C=少し距離がある
そんな感じです。
冬頃は、
Aグループは3〜4人程度。
残りの多くはBかCだったそうです。
つまり、
「この人にどう思われるだろう」
という緊張感が、かなり強かった。
すると当然、
プレー中も防御的になりやすい。
だからまず、
「Cグループを減らそう」
というところから始めました。
大きなことではありません。
挨拶+一言。
練習中の盛上げる声掛け。
そういうことを少しずつ積み重ねた。
すると最近、
Aグループが約半分。
残りもほぼBグループになってきたそうです。
理由を尋ねたら
「先輩の方から声をかけてくれることが多くなったので
自然と仲良くなっていった。」
ということでした。
ここがすごく大きかった。
つまり、
“信頼関係”
が出来てきたんです。
すると不思議なことに、
プレーが変わり始めました。
本人も今回のセッションで、
「今は不安が30〜40%くらい」
と話していました。
すると、
周りが見える。
声が出る。
リラックスしてプレーできる。
さらに、
判断スピード。
パス精度。
球際。
空中戦。
そういう部分まで変わってきた。
本人に視野、判断スピード、精度のビフォーアフターを点数で聞くと、
以前は、
「20点くらいの状態」
だったものが、
最近は、
「70点くらいまで良くなった感じ」
と話していました。
ここ、すごく重要なんですよね。
つまり、
「もっと頑張れ」
だけでは、
パフォーマンスは変わらなかった。
最初に起きた変化は、
信頼関係だったんです。
信頼関係
↓
安心感
↓
視野が広がる
↓
認知が上がる
↓
判断が早くなる
↓
パフォーマンスが良くなる
この流れ。
最近、現場でこれをすごく感じます。
実際、彼は前節のリーグ戦で、
ゲームキャプテンも任されました。
以前なら、
「自分なんかが…」
という不安が強かったと思います。
でも今回は、
悪天候の0-0の試合でも、
声を出し続けていた。
周囲を見ながら、
チームを動かそうとしていた。
試合後には先輩から、
「よくやったな」
「周り見えてたな」
と言われ、すごくうれしかったそうです。
これも、
単なる技術向上ではなく、
“状態”
が変わった影響なんだと思います。
もちろん、
安心だけでは人は育ちません。
彼自身も今後のテーマとして、
「安心感を保ちながら、球際の強度を上げる」
という話をしています。
苦しい時間帯。
失点後。
プレッシャーが掛かる場面。
そういう時でも、
深呼吸しながら、
声を出しながら、
視野を狭めない。
そこを今、練習しています。
最近の私は、
「緊張感を持て!」
だけでは、
長期的なパフォーマンスは上がりにくいんじゃないか、
と感じています。
もちろん基準は必要です。
強度も必要。
でも、
それを不安で動かそうとすると、
短期的には動いても、
長期的には、
視野や判断力が伸びにくいのかもしれない。
だから大事なのは、
「安心」と「基準」
の両立なんだと思います。
最近の私は、
「状態が行動をつくる」
ということを、現場で強く感じています。
不安状態では、防御的になる。
安心状態では、挑戦しやすくなる。
これは、子どもだけではありません。
大人も同じです。
私自身も、
余裕がなくなると、
かなり視野が狭くなります。
昔の私は、
“不安で自分を動かそうとするタイプ”
でした。
かなりハードモードでした。
でも最近は、
深呼吸して落ち着いた時の方が、
結果的に良い判断ができることが増えてきました。
いわゆるイージーモードです。
まだまだ探求中ですが、
「安心を土台にした主体性の育成」
というテーマは、
これからの育成や教育で、とても重要になる気がしています。
安心感は、
人を弱くするものではなく、
本来の力を発揮するための土台なのかもしれません。
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