あるサッカー選手とのセッションで、こんな話がありました。
「最初のプレーでミスすると、そのあと頭が真っ白になるんです」
育成年代では、本当によくある話です。
最初のパスミス。
トラップミス。
失点に絡むプレー。
すると選手は、
急に消極的になる。
声が減る。
足が止まる。
簡単なプレーを選び始める。
周囲から見ると、
「もっと切り替えろよ」
と言いたくなるかもしれません。
でも実際には、
本人も必死なんです。
今回は、
そんな選手との対話の中で、
あらためて感じたことを書いてみたいと思います。
「メンタルが弱い」のではない
その選手はこう言っていました。
「ミスすると、
次もミスする気がしてしまう」
「焦って、
周りが見えなくなる」
これ、
実はかなり自然な脳の反応です。
人間は不安が増えると、
ワーキングメモリーと呼ばれる
“頭の整理整頓をする力”
が下がります。
すると、
・視野が狭くなる
・判断が遅れる
・情報が多く入りすぎる
・声が減る
・身体が固くなる
こういうことが起きやすくなる。
つまり、
「弱い」のではなく、
脳が“危険モード”に入っている。
そんなイメージです。
「切り替えろ」は意外と難しい
指導者時代の私は、
正直よく言っていました。
「切り替えろ!」
でも今思うと、
あれは少し乱暴でした。
なぜなら、
不安が強い時の脳は、
「落ち着け」
と言われても、
もう落ち着けない状態だからです。
これは、
高速道路を時速140kmで走っている車に、
「はい、安全運転してね」
と言うようなものかもしれません。
本人も、
安全運転したいんです。
でも、
もう頭の中がいっぱいなんです。
「大丈夫」の意味
今回のセッションでは、
・深呼吸
・姿勢
・声
について話しました。
特に印象的だったのは、
「大丈夫」という言葉。
気合いの声ではありません。
安心の声です。
育成年代では、
技術や戦術以上に、
「安心してプレーできるか」
がパフォーマンスに影響することがあります。
特に、
失点後。
ミス後。
劣勢時。
こういう場面ほど、
チームの“空気”がプレーを左右する。
だから私は最近、
「声は技術」
というより、
「声は安心」
なんじゃないかと思っています。
指導者も不安になる
ただ、
難しいのはここです。
結果が出ない時、
実は一番不安なのは、
指導者かもしれません。
すると、
・早く立て直したい
・何とかしたい
・変えなきゃ
という気持ちが強くなる。
その結果、
選手以上に、
大人のほうが焦ってしまうこともある。
これ、
現場では本当によくあります。
私自身も、
今でも探究中です。
最後に
最近、
強いチームほど、
「安心感」
を大事にしている気がします。
もちろん、
甘さとは違います。
高い基準を持ちながら、
安心してチャレンジできる空気。
それがあるチームは、
崩れても戻れる。
逆に、
不安だけで動いているチームは、
少しずつ声が減っていく。
育成年代で本当に育てたいものは、
技術だけではなく、
「崩れても戻れる力」
なのかもしれません。
もし最近、
選手がミスを引きずっているなら。
あるいは、
チームの空気が重くなっているなら。
「もっと頑張れ」
の前に、
まずは、
安心できる声があるか。
そこから見直してみても、
いいのかもしれません。
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