なぜ選手は崩れるのか?

他人軸から自分軸への発達が「戻る力」を育てる

中学生年代の現場でも、大学トップレベルの現場でも、能力の高い選手が、失敗をきっかけに大きく崩れる場面を見てきました。

技術はある。
理解力もある。
努力もしている。

それなのに、ミスをした瞬間に表情が変わる。
評価を気にし始める。
仲間の声が耳に入らなくなる。
プレーが小さくなる。

これまでは、その理由を「メンタルが弱いから」と見てしまいがちでした。

でも、成人発達理論に触れて、少し見え方が変わりました。

もしかすると、それは能力の問題ではなく、物事の捉え方の発達段階の問題なのかもしれない。

そう感じたのです。

成長とは、捉え方が発達すること

成人発達理論では、成長を「スキルが増えること」だけではなく、「物事の捉え方が発達すること」と考えます。

ここで特に大切なのが、第三段階と第四段階です。

第三段階は、他人軸の段階です。

この段階では、

「人からどう見られるか」
「期待に応えられているか」
「評価されているか」
「嫌われていないか」

が大きな判断基準になります。

もちろん、これは悪いことではありません。

周囲の期待を感じ取れる。
空気を読める。
チームに合わせられる。
指導者の意図を理解しようとする。

育成年代の選手にとって、大切な力でもあります。

ただ、この他人軸が強くなりすぎると、失敗した時に大きく崩れやすくなります。

ミスを、単なるプレーの失敗ではなく、

「自分は評価を下げた」
「もう信頼されない」
「自分には価値がない」

と捉えてしまうからです。

つまり、失敗が「出来事」ではなく、「自分の価値」と結びついてしまう。

ここに、選手が崩れる大きな理由があります。

自分軸が育つと、失敗の意味が変わる

第四段階は、自分軸の段階です。

ここでは、周囲の評価だけでなく、

「自分は何を大切にしたいのか」
「自分はどう成長したいのか」
「次に何を選ぶのか」

を自分で考えられるようになります。

この自分軸が育つと、ミスの捉え方が変わります。

第三段階では、

「ミスをした。評価が下がった。自分はダメだ」

となりやすい。

でも第四段階では、

「ミスをした。では、次に何を修正するか」
「この経験から何を学ぶか」
「自分の成長テーマは何か」

と考えやすくなります。

同じミスでも、捉え方が変わると、心と行動が変わります。

これが、リバウンドメンタリティーと成人発達理論がつながるところです。

戻る力は、自分で選ぶ経験から育つ

では、どうすれば他人軸から自分軸へ発達していくのでしょうか。

ポイントは、選手が自分で考え、自分で選ぶ経験を積み重ねることです。

たとえば、

自分の考えを書く。
感情を書く。
ミスの後に頭に浮かんだ言葉を書く。
ABC理論で、出来事と捉え方を整理する。
サッカーノートに「次に戻る言葉」を書く。
自分のテーマを自分で決める。
小さな意思決定を自分で行う。

こうした習慣が、自分軸を育てていきます。

指導者がすべて答えを渡してしまうと、選手は考える必要がなくなります。

もちろん、教えることは必要です。

でも、教えるだけでは自分軸は育ちにくい。

問いを渡す。
考える時間を渡す。
選ぶ経験を渡す。

そこに、指導者の大切な役割があるのだと思います。

リバウンドメンタリティーは、捉え方の発達を支える実践モデル

リバウンドメンタリティーとは、崩れない力ではありません。

崩れても戻れる力です。

では、戻れる選手と戻れない選手の違いは何か。

その土台にあるのが、自分軸です。

自分軸が育つほど、失敗を「自分の価値」ではなく「学び」として捉え直しやすくなります。

評価が気になる。
悔しい。
不安になる。

それは自然なことです。

でも、その感情に飲み込まれたまま終わるのではなく、

「では、自分は次に何をするのか」

へ戻ってこられる。

この力を育てることが、リバウンドメンタリティーの実践なのだと思います。

だから私は、リバウンドメンタリティーを単なるメンタルトレーニングとは考えていません。

それは、選手の物事の捉え方を発達させる実践プログラムです。

指導者に問われていること

これからの指導者に問われるのは、技術や戦術を教えることだけではありません。

選手が失敗をどう捉えるか。
評価に揺れた時、何に戻るか。
他人軸に飲み込まれた時、自分軸へどう戻るか。

そこまで支援できるかが大切になります。

本当の成長とは、スキルアップだけではありません。

物事の捉え方が発達すること。

そして、その捉え方の発達を支えることが、崩れても戻れる選手を育てる土台になるのだと思います。

リバウンドメンタリティーは、捉え方の発達を支援する実践モデルである。

今日あらためて、その確信が深まりました。

あなたのチームでは、選手に技術だけを教えているでしょうか。
それとも、失敗をどう捉え直すかまで支援しているでしょうか。

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