リバウンドメンタリティー育成モデルをつくり始めた理由
スポーツの現場では、自分では完全にコントロールできない出来事が必ず起こります。
ミスをする。
試合に負ける。
メンバーから外れる。
カテゴリーが変わる。
怪我をする。
周囲と比較される。
監督やコーチから評価される。
どれだけ準備しても、どれだけ真剣に取り組んでも、思い通りにならないことはあります。
そのたびに選手の心は揺れます。
では、メンタルが強いとは、まったく揺れないことなのでしょうか。
私は最近、少し違うのではないかと考えています。
本当に育てたいのは、崩れない選手ではなく、崩れても戻れる選手なのではないか。
この問いから、今、リバウンドメンタリティー育成モデルをつくり始めています。
選手は、ミスそのものだけで崩れるわけではない
これまで個別メンタルコーチングを続ける中で、何度も感じてきたことがあります。
選手は、ミスそのものだけで崩れるわけではありません。
ミスをした後に、頭の中でどんな言葉が流れるか。
その出来事をどう捉えるか。
そこから崩れていくことがあります。
「またやってしまった」
「評価が下がる」
「もう使われないかもしれない」
「周りにどう見られているだろう」
「自分はダメなんじゃないか」
こうした言葉が出てくると、体は固くなります。
次のプレーに入りにくくなります。
本来の判断や動きが戻りにくくなります。
だからこそ、失敗した後に、ただ「切り替えろ」と言うだけでは足りないのかもしれません。
選手自身が、自分の崩れ方に気づき、自分で戻る方法を持つ必要がある。
その力を育てられないか。
これが、今の私の仮説です。
NOTICE → RESET → NEXT
現在考えている育成プロセスは、とてもシンプルです。
キーワードは、
NOTICE → RESET → NEXT
です。
まず、NOTICE。
自分は何によって揺れるのか。
ミスなのか。
評価なのか。
比較なのか。
選外なのか。
その時、頭の中にどんな言葉が出るのか。
身体にはどんな反応が出るのか。
行動はどう変わるのか。
まずは、自分の崩れ方に気づくことです。
次に、RESET。
周囲の評価や比較をなくすことが目的ではありません。
チームスポーツである以上、役割も、仲間も、監督やコーチからの評価も大切です。
ただ、それらに揺れた時に、
「自分はどうしたいのか」
「今、自分がコントロールできることは何か」
へ戻る。
外側の評価だけに、自分の状態を支配されないようにする。
そして、NEXT。
呼吸、姿勢、自分の言葉、具体的な行動を使って状態を整え、次の1プレーを選ぶ。
完璧に戻る必要はありません。
まずは、次の一歩を自分で選ぶ。
そこから始める。
これが、リバウンドメンタリティーの実践になるのではないかと考えています。
戻るとは、元に戻ることだけではない
ただ、リバウンドとは、単に元の状態に戻ることではないと思っています。
本当に大切なのは、自分の北極星に戻ることです。
自分は何のために競技をしているのか。
どんな選手でありたいのか。
どんな人間でありたいのか。
チームや周囲に何を与えたいのか。
ここが見えないまま「切り替えよう」としても、戻る場所が曖昧になります。
だから、最終的にはビジョンも大切になります。
ビジョンマップのように、自分の目的や目標を見える形にする。
それは、ただ夢を描くためではありません。
崩れた時に、戻る場所を確認するためです。
「自分はどこへ向かっているのか」
「そのために、今この一歩をどう選ぶのか」
リバウンドとは、自分の北極星を確認し、そこへ向かってもう一度、自分で次の一歩を選び直すことなのだと思います。
まだ仮説モデル Ver.1です
ここまで書いてきたことは、完成したプログラムの紹介ではありません。
効果が証明されたと言いたいわけでもありません。
これは、これまでの個別メンタルコーチングの実践から見えてきた仮説です。
今後、大学年代の競技スポーツの現場で、少人数のグループセッションを通して実践し、検証していく予定です。
選手たちと一緒に試しながら、何が本当に役に立つのか。
どんな言葉なら現場で使えるのか。
どんなワークなら、自分で戻る力につながるのか。
そこを一つひとつ確かめていきたいと思っています。
メンタルが強いとは、落ち込まないことではない。
揺れないことでもない。
揺れた時に、自分の崩れ方に気づき、自分の基準へ戻り、もう一度、自分の意思で一歩を選べること。
私は今、その力をリバウンドメンタリティーとして育てられないかと考えています。
崩れない選手ではなく、崩れても戻れる選手を育てる。
その仮説を、これから現場で少しずつ形にしていきたいと思います。
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