その時、指導者は何を育てるのか
朝練の集合5分前。
20人いるはずのチームで、集まっているのは6人だけ。
こんな場面があったとしたら、指導者の心にはいろいろな感情が湧いてくると思います。
「何をやっているんだ」
「本気でやる気があるのか」
「このままでいいのか」
怒りも出る。
がっかりもする。
焦りや不安も出る。
それは自然なことです。
私も現場にいれば、きっと心は動くと思います。
ただ、その時に指導者がどう捉え、どんな言葉を置くかで、選手に残るものは変わります。
怒ることが悪いわけではない
まず、厳しさが悪いわけではありません。
時間を守ること。
チームの約束を守ること。
仲間を待たせないこと。
これは大切な基準です。
ただし、指導者の反応が、
「何やってるんだ」
「やる気がないなら帰れ」
「今日はもう練習中止」
だけで終わると、選手は短期的には動くかもしれません。
でも、その行動の理由は、
怒られないため
になりやすい。
これは、成人発達理論で言えば、まだ外からの評価に強く反応している状態です。
他人軸で動く選手、自分軸で動く選手
第3段階の他人軸では、選手は周囲からどう見られるかを気にします。
「監督に怒られたくない」
「仲間に迷惑をかけたくない」
「評価を下げたくない」
もちろん、これは悪いことではありません。
チームの一員として責任を感じることは大切です。
ただ、ここで止まると、選手は自分で考えるより、評価されるために動きやすくなります。
一方、第4段階の自分軸では、問いが少し変わります。
「自分たちは、どんなチームでありたいのか」
「朝練は、誰のためにやっているのか」
「今日の状況から、何を学ぶのか」
「明日から、何を変えるのか」
ここでは、選手が自分たちの目的や基準に戻っていきます。
評価される自分から、自分で選ぶ自分へ。
これが、他人軸から自分軸への成長なのだと思います。
未来の文化まで見る
さらに第5段階の視点では、目の前の遅刻や集合の乱れだけを見ません。
この出来事が、半年後、1年後のチーム文化に何を残すのかを考えます。
来ていた6人には、何を感じさせたいのか。
来ていない選手には、何を学んでほしいのか。
保護者や学校から見た時、このチームはどう見えるのか。
後輩にどんな文化を残したいのか。
厳しくするか、優しくするか。
それだけではありません。
この出来事を、チーム文化を育てる機会としてどう扱うか。
そこに、指導者の成熟が表れるのだと思います。
リバウンドメンタリティを文化にする
リバウンドメンタリティとは、崩れても戻る力です。
それは、選手に「崩れるな」と言うことではありません。
集合が乱れた時。
練習の入り方が甘くなった時。
チームの基準が崩れた時。
その場面で、指導者がどんな問いを置けるかです。
「誰が悪いのか」だけで終わらせるのか。
それとも、
「自分たちは、どうありたいのか」
「明日から何を変えるのか」
「この出来事を、どんな文化に変えるのか」
と問いを置けるのか。
指導者の問いが文化をつくる。
選手は、怒られないために戻るのではありません。
怒られないために戻るのではなく、自分たちはどうありたいかに戻る。
その積み重ねが、チームのリバウンドメンタリティになっていくのだと思います。
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