キャプテンは、答えを出す人ではなく、チームの声を集める人

チームで何か問題が起きた時、そのチームは問われます。

誰が悪かったのか。
何がいけなかったのか。
どうすれば同じことを繰り返さないのか。

もちろん、起きたことを曖昧にしないことは大切です。

ただ、そこで終わってしまうと、出来事は「叱られた経験」だけで終わってしまいます。

大事なのは、その出来事をチーム文化を育てるきっかけにできるかどうかです。

問題が起きた後、キャプテンが考えたこと

ある中学生チームでのことです。

練習試合の合間に、チームとして望ましくない行動をした選手たちがいました。

監督はその行動を重く受け止め、その選手たちをBチームに落としました。

その背景には、「感謝が足りない」というメッセージがあったようです。

試合ができること。
相手チームがいること。
会場を準備してくれる人がいること。
指導してくれる人がいること。
応援してくれる人がいること。

そうしたものを、当たり前にしてはいけない。

監督は、そこを伝えたかったのだと思います。

大切なのは、その後です。

キャプテンは、監督の言葉や判断を自分一人で受け止めるのではなく、チームのみんながどう感じているのかを知りたいと思いました。

そこで、チームにアンケートを取りました。

ところが、回答は半分ほどしか集まりませんでした。

そのキャプテンは、そこで相談してきました。

「どうしたら、もっとみんなの声を集められるでしょうか」

この問いを持てたこと自体が、とても大きいと感じました。

キャプテンが一人で背負わなかったこと

キャプテンという立場になると、つい一人で何とかしようとします。

自分がまとめなければいけない。
自分が答えを出さなければいけない。
自分が全員に言わなければいけない。

責任感のあるキャプテンほど、そうなりやすいものです。

でも、チーム文化はキャプテン一人で作るものではありません。

監督一人で作るものでもありません。

最後は、チーム全員が「自分たちの基準」として受け取れるかどうかです。

このキャプテンが素晴らしかったのは、監督の言葉を自分だけで抱え込まず、みんながどう受け止めたのかを知ろうとしたことです。

「自分はこう思う」で終わらせなかった。

「みんなはどう感じているのか」を見ようとした。

そこに、リーダーとしての成長が見えます。

回答が集まらないことにも意味がある

アンケートの回答が半分ほどしか集まらなかった。

これを見て、すぐに「関心がない」と決めつける必要はありません。

何を書けばいいかわからなかったのかもしれない。
自分には関係ないと思ったのかもしれない。
まだ自分ごとになっていなかったのかもしれない。
考えを出してよい場だと思えていなかったのかもしれない。

そこにも、チームの現在地が表れています。

回答が集まらないことも、チームづくりの材料です。

便利な材料ではありませんが、現場ではこういう材料ほど味があります。
少し噛みごたえはあります。

小さなグループで声を集める

キャプテン一人が全員に声をかけるのは大変です。

そこで、小さなグループを作る方法があります。

3人から5人くらいのグループを作る。
それぞれにグループリーダーを置く。
グループリーダーがメンバーに声をかける。
まずは小さな単位で考えを集める。

こうすると、キャプテン一人に集中していた責任が、少しずつチーム全体に広がっていきます。

これは責任の分散ではありません。

責任の共有です。

「キャプテンが何とかする問題」から、
「自分たちのチームとして考える問題」へ変わっていく。

この違いは大きいです。

キャプテンにこの方法を提案した時、少し表情が明るくなりました。

「それならできそうだ」

そんな顔になりました。

リーダーが全部を背負うのではなく、仕組みを作る。
問いをチームに渡す。
仲間の力を借りる。

それができると、キャプテン自身も少し呼吸がしやすくなります。

チーム文化は、監督の言葉だけでは育たない

監督の言葉は大切です。

ただし、監督が言っただけで、チーム文化が自動的に育つわけではありません。

選手たちが、その言葉をどう受け取るか。
自分たちは何に感謝するのか。
試合の合間をどう過ごすのか。
チームの基準を誰が守るのか。
注意された選手だけの問題なのか。
それとも、チーム全体の問題なのか。

ここを選手たちが考えることで、監督の言葉はチームの基準になっていきます。

これは、ラーナーセンタードなチームづくりにもつながります。

指導者がすべての答えを与えるのではなく、選手自身が学び、考え、選び、行動していく。

中学生ですから、まだ未熟なところもあります。

むしろ未熟で自然です。

だからこそ、大人が全部を決めるのではなく、考える機会を作ることが大切になります。

キャプテンは、問いをチームに渡す人

キャプテンは、答えを出す人だと思われがちです。

みんなを引っ張る人。
全員に注意する人。
監督の考えを伝える人。
チームをまとめる人。

もちろん、それも大切な役割です。

でも、これからのキャプテンに必要なのは、それだけではないと思います。

答えを一人で出すのではなく、問いをチームに渡す。

「みんなはどう感じた?」
「自分たちは何に感謝する必要がある?」
「試合の合間をどう過ごすべきだと思う?」
「このチームの基準は何だろう?」
「次に同じことが起きないために、自分たちは何ができる?」

こうした問いを共有することで、チームの当事者意識が育っていきます。

キャプテン一人が頑張るチームではなく、みんなで基準を育てるチームへ。

その流れを作ることも、キャプテンの大切な役割です。

問題が起きた時、誰かを悪者にして終わるのか。
それとも、チーム文化を育てる入口にするのか。

ここで、そのチームの次の成長が変わります。

キャプテンは、答えを出す人ではありません。

チームの声を集める人。
問いを共有する人。
みんなで考える場を作る人。
チームの基準を、自分たちのものにしていく人。

あなたのチームでは、問題が起きた時、誰が声を集めていますか。

そして、その出来事を、チーム文化を育てる問いに変える場はあるでしょうか。

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