「ラーナー・センタード」こそ、これからの指導者像
日本サッカーの指導現場は、いま大きな転換点を迎えています。
その中心にあるのが、JAPAN’S WAY(2022年改定)で明確に示された
「ラーナー・センタード(Learner Centered)」な指導哲学です。
これは単なる流行や方法論ではなく、
“育成年代の未来を変えるための本質的な指導者像”を提示しています。
今回は、コーチングラボつくば Day7 の議論を通して、
「ラーナー・センタードがなぜ重要なのか」
を整理してお伝えします。
■ 1. 指導者は「教える人」から「学びを引き出す人」へ
JAPAN’S WAY が強調するラーナー・センタードの要点は、
- 選手の主体性
- 気づきの促進
- 自ら判断し改善する力
- 対話による学習
- 自立を支える環境づくり
これらを中心に据えることです。
2022年の指導者研修改定では、
インストラクター(教える人)よりも
チューター(学びを促す人)を重視する方向へ明確に舵が切られました。
つまり、指導者の役割は
“答えを与える存在”ではなく “学びをデザインする存在”へと進化している。
これがラーナー・センタードの本質です。
■ 2. コーチ同士の“連携”が、育成の質を大きく左右する
Day7の話し合いでは、現場が抱える多くの課題が共有されました。
- ヘッドとアシスタントの評価のズレ
- GKとフィールドコーチの視点のギャップ
- 選手の疲労・怪我情報の共有不足
- 目標設定のバラつき
- モチベーションの見取りの違い
こうした問題はどの現場にも存在しますが、
JAPAN’S WAYはここに明確な答えを出しています。
それは、
「指導者は個の職人ではなく、チームとして育成をつくる存在である」
という考え方です。
- 情報の共通理解
- 目標と評価基準の共有
- コーチ同士の対話
- 水平な学び合い
これらがあって初めて、
選手にとって一貫した育成環境が成立する。
ラーナー・センタードは、
「選手の主体性」だけでなく
“コーチ間の主体性”も求める指導観です。
■ 3. GK評価・目標設定・モチベーション──すべては“選手理解”でつながる
議論の中で、GK評価の話題も深まりました。
JFAのGKプロジェクトで重視されているのは、
- シュートストップ
- クロス対応(ハイボール)
- ビルドアップ(キック、判断)
- スイーパー能力
といった軸です。
大切なのは、
“チームとしてどのGK像を育てたいか”
をコーチ陣で揃えること。
さらに、選手のモチベーション低下のサインや、
承認・対話の重要性も話し合われました。
いずれもラーナー・センタードの指導観につながる内容です。
つまり、
「選手理解を深める」=「ラーナー・センタードの実践」
といっても過言ではありません。
■ 4. コーチングラボの目的:ラーナー・センタードの“実装”
コーチングラボつくばは、単なる勉強会ではありません。
- 対話によって
- 気づきを得て
- 自分の言葉で整理し
- 現場で再現し
- また対話の場に戻ってくる
このサイクルを回すための “学習コミュニティ” です。
Day7では、
大学生コーチたちが自分の現場を言語化し、
課題を共有しながら、
JAPAN’S WAYの理念をどう実践に落とすかを真剣に考えていました。
育成年代の未来は、こうした若い指導者の成長によって確実に変わります。
■ 5. 最後に──指導者自身が“学び続ける人”であること
ラーナー・センタードのもう一つの意味は、
「指導者自身も学習者である」ということです。
- 選手に寄り添い
- コーチ同士が学び合い
- 主体性を尊重し
- 一貫した育成環境をつくり
- 現場の問いに向き合う
こうした姿勢こそが、
これからの「日本らしい指導者像」です。
コーチングラボは、
その姿勢を実践レベルで磨いていく場として生まれました。
次回も、皆さんと新しい学びの対話ができることを楽しみにしています。
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