目標への道筋を描く:ビジョンマップで実現力を鍛える
ある日のセッションで、高校サッカー選手のK選手と向き合いました。彼は、自身のトレーニングに対するモチベーションの起伏に悩んでいました。「練習後のランニングが苦痛で、愚痴が出てしまう」という本音を語ってくれたのです。
このような状況は、学生アスリートにとって決して珍しいものではありません。しかし、重要なのは、彼がその感情をただの不満として終わらせず、それを成長の材料に変えたいと考えていた点です。そこで私は、彼に「ビジョンマップ」というツールを紹介しました。
ビジョンマップとは何か?
ビジョンマップは、自分がなりたい姿や達成したい目標を視覚的に表現する方法です。例えば、半年後に「チームの中心となり、欠かせない選手になる」という目標を持つK選手には、そのイメージを具体化する写真やキーワードを集め、ひとつのマップにまとめる作業を提案しました。
なぜビジョンマップが有効なのか?
- 潜在意識へのインストール
視覚化することで、脳が目標を現実として捉え始めます。これにより、無意識のうちに目標達成に向けた行動を選び取るようになります。 - 行動の明確化
抽象的な「頑張る」ではなく、具体的なステップが見える化されます。例えば、「フィジカルを強化する」「判断力を向上させる」など、目標に直結したアクションが浮き彫りになります。 - モチベーションの安定化
モチベーションは波があるものですが、ビジョンマップを見ることで目標を思い出し、原点に立ち返ることができます。
K選手の場合:目標の具体化
K選手が選んだ目標は次のようなものでした:
- チームの中心選手として活躍する
- 判断力、フィジカル、キックの精度を向上させる
- ベンチプレス90kg、スクワット135kg、懸垂10回を達成する
彼には、自分の理想像を象徴するサッカー選手の写真を探し、それをマップに貼り付けるよう伝えました。また、「半年後の自分」に関連したキーワードを挙げ、それを基に画像検索をする具体的な手順も共有しました。
実践への第一歩
K選手には、ビジョンマップをスマートフォンの待ち受け画面に設定することを勧めました。日々目にすることで、目標が常に意識の中心にある状態を作り出します。
コーチとしての教訓
このセッションで学んだのは、「問いかけ」の力です。「もしあなたの親友が同じ状況にいたら、どんな声をかけますか?」という質問が彼の意識を変えるきっかけになりました。この問いかけは、選手自身が逆境に立った際、自分を励ます力を養う練習にもなります。