― 年代別に変わる、選手への関わり方のヒント ―
先日の練習後、ある中学生の選手がぽつりとこんなことを言いました。
「今日は全然うまくできなかったけど、怒られなかったから、次また頑張ろうと思えました。」
技術的な指導はほとんどしていない日でした。
それでも、その選手の表情はどこか前向きで、翌日の練習ではいつもより積極的にチャレンジしていました。
この出来事を見て、改めて感じたのは、
選手がどんな“心の状態”で練習や試合に向き合っているかが、プレーの質に大きく影響しているということです。
そしてこのテーマについて、先日、スポーツ現場のデータを使って研究をしている若手研究者と対話する機会があり、
現場の感覚とデータの両方から、いくつか大切な示唆を共有することができました。
心の状態とパフォーマンスの関係は、年代で変わる
今回の対話では、私が関わっている育成年代の調査結果も共有しました。
あくまで探索的なデータではありますが、興味深い傾向が見えてきています。
中学生の場合|生活と心が直結しやすい
中学生では、
- スマホの使い方
- 部屋や身の回りの環境
- 日常で使う言葉
といった生活習慣と、心の状態が比較的わかりやすく連動していました。
つまり、
生活が乱れる → 心が不安定になる → パフォーマンスが落ちやすい
という流れが、見えやすい段階です。
この時期は、技術指導以前に
「生活リズムを整える」「安心して過ごせる環境をつくる」
といった関わりが、結果的にプレーの安定につながりやすいと感じています。
大学生の場合|心理社会的要因が大きくなる
一方で大学生になると、
- 出場機会
- チーム内での役割
- 将来への不安
- 周囲からの評価
といった心理社会的な要因の影響が強くなり、
生活習慣だけでは説明できない、より複雑な構造になります。
ただし、どの年代でも共通していたのは、
心の状態が安定している選手ほど、
自分の力を発揮しやすい傾向がある
という点でした。
「整え方」は違っても、
心の状態がパフォーマンスに影響すること自体は変わらないということです。
「何を教えるか」より「どんな状態で挑戦できているか」
研究のテーマの一つに、
試合中の意思決定の複雑さや認知的負荷が、パフォーマンスや怪我のリスクにどう関係するか、という視点があるそうです。
ここで改めて感じたのは、
- 戦術を理解しているか
- 技術が身についているか
以前に、
その選手が、どんな心理状態でプレーしているか
安心してミスできる状態か
自分で考えて判断できる余白があるか
この部分が、実はプレーの質に大きく影響している可能性があるということです。
そしてこれは、
選手個人の問題というより、チーム環境や指導の在り方の影響が大きいと、私は感じています。
発達段階によって「効く関わり方」は違う
今回の対話で改めて整理できたのは、ここです。
中学生
- まずは生活と環境を整える
- 行動レベルでの支援が効果的
高校生
- 生活+競技ストレスへの対応
- 比較や評価への向き合い方が重要
大学生
- 役割認知や将来展望
- 「なぜ今ここで頑張っているのか」という意味づけ
つまり、
年齢が上がるほど
「行動を変えれば整う」から
「意味づけが整えば動ける」へと重心が移っていく
指導も、ここを踏まえて設計しないと、
「言っているのに変わらない」「伝わっているはずなのに動かない」
というズレが生まれやすくなります。
研究と現場は、もっと近くていい
研究の世界では、結果が現場に届くまで何年もかかることが珍しくありません。
一方、現場では今日の練習、明日の試合に向けて、すぐに判断が求められます。
だからこそ、
- 現場で起きていることを
- データで見直し
- また現場に戻す
この往復ができる関係は、とても価値があると感じています。
私自身は研究者ではありませんが、
現場で感じている違和感や手応えを、研究の視点で整理してもらえることで、
「なぜそれが起きているのか」をわかりやすく言語化できるようになりたいと思います。
指導者の皆さんへ
もし今、
- どう声をかけたらいいのか分からない
- 選手のやる気に波がある
- チームの雰囲気が少し重い
そんな感覚があるなら、
技術や戦術の前に、
選手がどんな状態で日常を過ごしているか
どんな心理状態でグラウンドに立っているか
そこに目を向けてみることが、遠回りに見えて一番の近道になるかもしれません。
「頑張らせる」よりも、
「頑張れる状態をつくる」
その設計を一緒に考えていけたらと思っています。
ご相談はこちらから
- チームでの関わり方を見直したい
- 指導者同士で対話の場をつくりたい
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そんな方は、まずはお気軽にLINEからご相談ください。
現場の状況を伺いながら、今できる形をご一緒に考えます。
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