セルフイメージと習慣化が選手の成長を左右する

あるチームでは、公式戦で連勝を重ね自信を高めている一方で、体調不良や出場機会の減少に悩む選手もいました。こうした状況の中で行われたメンタルコーチングのグループセッションでは、選手たちの「心の状態」と「目標達成に向けた習慣化」が大きなテーマとなりました。

セッションの冒頭では、心の状態を「天気」に例えて表現するチェックインを実施。選手が自分自身の感情を言語化することで、内面を整理しやすくなります。


セルフイメージ・自己肯定感・自己効力感

セッションの中で紹介されたのが、3つの心理概念を「車」に例える考え方です。

  • セルフイメージ:自分がどんな車に乗っているか(=自分をどう見ているか)
  • 自己肯定感:その車に満足しているかどうか(=自分をどう受け入れているか)
  • 自己効力感:その車で目的地にたどり着けると思えるかどうか(=目標を達成できると思えるか)

さらに、車を運転する時に助手席から聞こえる声――つまり「内なる親(インナーペアレント)」の存在も大切だと伝えられました。その声が励ましなのか、批判なのかで運転(行動)の質は大きく変わります。


目標設定と習慣化の重要性

セッションでは、選手たちにシーズン目標を具体的に言語化してもらいました。ある選手は出場時間を増やすこと、別の選手はチーム内でのポジションを確立することを目標に掲げました。

そのうえで「続けたい習慣」と「やめたい習慣」を洗い出し、日々の行動につなげるワークを実施。たとえば英語学習を毎晩・毎朝のルーティンに取り入れたり、筋トレとストレッチを朝習慣に組み込んだりと、それぞれの挑戦が共有されました。


報酬システムによる動機づけ

モチベーションを持続させるために、「報酬システム」という考え方も紹介されました。

  • 結果として得られる報酬(大学進学やキャリアへの安心感)
  • 習慣そのものから得られる報酬(早起きして得られる余裕や気分の安定)

このように「報酬」を意識することで、習慣がより長続きすることが期待できます。


感情の段階と成長の実感

コーチは「感情の22段階」をもとに、選手に自分の現在地を自己分析してもらいました。焦りや苛立ちを感じつつも集中力が高まっている選手や、過去の停滞期を振り返りながら現在の成長を実感する選手もいました。

このように感情を言語化することは、次の一歩を踏み出す力になります。


指導者へのヒント

  • 選手にセルフイメージを問いかけてみる:自分をどう捉えているかが、日々の行動や挑戦に直結する。
  • 習慣化の支援をする:続けたい習慣とやめたい習慣を一緒に言語化させる。
  • 報酬を見える化する:行動の先にあるメリットを共有することで、選手は主体的に取り組みやすくなる。
  • 感情の振り返りを取り入れる:気持ちを天気や段階で表現させることで、選手は自己理解を深める。

まとめ

今回のセッションを通じて浮かび上がったのは、 「セルフイメージ」「習慣」「感情管理」 の3つが選手の成長を支える土台になるということです。指導者がこれらの要素を意識して選手と関わることで、チーム全体の成長スピードも大きく変わっていきます。

「選手の主体性をさらに伸ばす工夫については、無料メルマガ や拙著『選手が自ら考え、やる気に満ちる! サッカー指導者のためのメンタルコーチング』でも詳しくご紹介しています。必要に応じてぜひご活用ください。」

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