トップダウンからファシリテーターへ──リーダーシップ転換がチームを変える
サッカーの現場では、技術や戦術だけでなく「リーダーシップの在り方」がチームの成長を大きく左右します。今回のセッションでは、ある大学生リーダーが直面している課題を通して、指導者にとっても学びの多いポイントが浮かび上がりました。
1. 自発性が生まれないチーム活動
試合前の清掃や応援など、チームの伝統的な活動にメンバーが主体的に取り組まないという悩みが共有されました。リーダーは「なぜ自発的に動けないのか」と頭を抱えていましたが、実は多くの組織でも共通する課題です。
2. 組織と個人のバランス
伝統として「全員で応援する」ことが求められる一方で、個々の事情や気持ちとの間にズレが生じるケースがあります。組織のベクトルと個人のベクトルのバランスをどう取るかは、リーダーにとって避けられないテーマです。
3. トップダウンか、対話型か
ゴミ問題への対応では、リーダーは「トップダウン型」で指示を出してしまったと振り返りました。しかし研究や実例からは「対話型アプローチ」が生産性を高めることが示されています。つまり、リーダーがすべてを決めるのではなく、問いかけを通じてメンバー自身が考え、動き出す仕組みが必要なのです。
4. ファシリテーター型リーダーシップへ
メンタルコーチ(西田)からは「トップダウンではなくファシリテーター型へ移行する」ことが提案されました。リーダーが答えを与えるのではなく、問いかけによって意見を引き出し、当事者意識を高めていく。これがチームの主体性を育む鍵になります。
指導者への示唆
今回の学びは、選手リーダーだけでなく、私たち指導者にとっても重要です。
- 指示や管理で動かすのではなく、問いかけで引き出す
- 組織の伝統と個人の状況をどう調和させるかを意識する
- 「自発性は育てるもの」であると認識する
チームを強くするのは、戦術的な工夫だけではありません。リーダーシップの在り方を変えることで、選手の行動も変わり、組織文化そのものが成長していきます。