受験とスポーツのジレンマを越えて ~科学が証明する「やり抜く力」の育て方~
「受験が近いので部活をやめます」
皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。親御さんも、そして時には私たち指導者も「勉強が最優先」と考えがちです。
でも、もしその判断が、選手の将来にとって本当に最良の選択なのでしょうか?
今日は、慶應義塾大学の中室牧子教授の研究をもとに、スポーツと学習の関係について、少し違う角度から考えてみたいと思います。
🎯 学力テストでは測れない「本当の力」とは?
中室教授の研究によると、将来の収入や人生の豊かさに最も影響するのは、実は学力テストの点数ではなく、3つの非認知能力だということが分かっています。
✨ 将来を左右する3つの力
- 忍耐力 – 困難な状況でも諦めずに続ける力
- 自制心 – 誘惑に負けず、目標に向かう力
- やり抜く力(グリット) – 長期的な目標を達成する力
興味深いのは、これらの能力が収入に与える影響は「40歳から60歳」、つまりキャリアの重要な時期に最も高くなるということです。
まさに、私たちがよく言う「技術だけでは到達できない”その先”」の話ですね。
⚽ スポーツが育む「見えない財産」
ニュージーランドで行われた32年間の追跡調査では、幼少期に自制心が高かった子どもたちが、大人になってから:
- 借金が少なく、貯金が多い
- 病気になりにくい
- 薬物依存率が低い
- 犯罪に関わる確率が低い
という結果が出ています。
つまり、スポーツを通じて培われる忍耐力や自制心は、選手にとって一生の「財産」になるということです。
「受験のためにスポーツをやめさせる」という判断は、もしかすると、この貴重な成長機会を手放してしまうことになるかもしれません。
💡 指導者が知っておくべき「やり抜く力」の伸ばし方
では、どうすれば選手の「やり抜く力」を伸ばすことができるのでしょうか?
🌱 成長思考を育む声かけ
研究で効果が実証されているのは、結果ではなくプロセスを評価することです。
❌ 結果重視の声かけ 「90点取ったね、すごいじゃないか!」
✅ プロセス重視の声かけ 「毎日コツコツ練習を続けた努力が素晴らしい」 「失敗しても諦めずに挑戦し続ける姿勢がいいね」
🎯 効果的な目標設定の方法
目標設定にもコツがあります:
❌ 結果重視の目標 「次の試合で勝つ」 「テストで90点取る」
✅ プロセス重視の目標 「毎日30分の自主練習をする」 「試合で3回以上声を出す」 「宿題を忘れない習慣をつける」
大切なのは、選手自身が「ギリギリ達成できそう」なレベルで、自分で決めた目標であることです。
🚀 未来志向の育成とは
私がいつもお伝えしている「心が整えば、未来が変わる」というメッセージ。
これは決して精神論ではなく、科学的な根拠に基づいた事実なのです。
📈 日本の可能性
興味深いことに、親の経済力による非認知能力の格差について、日本は国際的に見てもかなり格差の小さい国だそうです。
これは、学校教育やスポーツ活動を通じて、家庭環境に関係なく、すべての子どもたちに成長の機会があるということを意味します。
私たち指導者の役割は、まさにその機会を最大限活かすことなのかもしれません。
💭 指導者への問いかけ
最後に、皆さんに考えていただきたいことがあります。
- 選手の「今の成績」ばかりに目が向いていませんか?
- 失敗を恐れる選手に、どんな声をかけていますか?
- 選手が自分で決めた目標を、どう支えていますか?
「勉強ができるだけでは活躍できない」
これは40代、50代になってから気づくことではなく、今この瞬間から育てられる力なのです。
✉️ 最後に
受験とスポーツは対立するものではなく、むしろ相乗効果を生み出すもの。
選手が本番で力を発揮し、ミスから立ち直り、自分の言葉で感情を語れる。そんな選手は、きっと勉強においても「やり抜く力」を発揮するはずです。
技術や体力の向上だけでなく、選手の「心の土台」を一緒に育てていきましょう。
それが、選手たちの「最幸の未来」への第一歩になると信じています。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。