「定着」から「飛躍」へ──ある大学生プレーヤーの半年振り返りと成長計画
今回は、大学サッカーのトップチームに定着しつつある一人のA選手とのセッション内容をもとに、「選手の中長期的な成長を支えるコーチング」について考えてみたいと思います。
◆ 4ヶ月の努力を振り返る:「継続できた」ことが自信に
この日は、前回の行動計画を確認するとともに、4月からの半年間を振り返るセッションでした。
Aくんは「4ヶ月間モチベーションを維持し、大学入学前からの目標だったトップチーム定着を果たせた」と自己評価。スコアにすれば6点(10点満点中)ながらも、明確な成長実感がある様子でした。
ポイントは、「継続できた」という事実が、次なるチャレンジへの自信につながっていることです。
◆ 成長を実感する「視点の変化」
彼が語ったのは、技術的な進歩だけでなく「サッカーの捉え方」そのものが変わってきたという内面的な成長。
「サッカーの理解度も技術も伸びたけれど、一番は“どうサッカーを見るか”が変わったことです」
これは、いわゆる「サッカーインテリジェンス」の進化。コーチの皆さんが日々意識して育てようとしている“考える力”が芽生えている証拠です。
◆ 不調時のパフォーマンスにどう向き合うか?
一方で、夏の大会(茨城フェス)では納得のいかない試合もあった様子。「本来8〜9点出せる自分が、4〜5点しか出せなかった」と自己分析していました。
要因は「イージーミス」──この再発を防ぐには、不調時の自分をどうマネジメントするかがカギになります。
私はこう伝えました。
「結果に一喜一憂せず、調子が悪いときほど“自分がどう対応するか”にフォーカスしよう」
この視点は、メンタルの安定とパフォーマンス再現性の土台になります。
◆ コンディションづくりは“生活”から
安食くんは睡眠や食事、入浴、ストレッチ、ルーティンといった日常管理もしっかり取り組んでいます。
「朝練前の起床時間を固定し、7時間以上寝るようにしてます」
「同じメニューを食べ続けることで、体調を安定させてます」
地味だけど強い。選手としてのベースを整えている証です。
◆ 日常の“集中力トレーニング”という発想
後半戦に向けて、私たちは「集中力の安定」をテーマに掲げました。
試合中に“ボーッとした”感覚が生まれることがあり、その日はミスも増える。だからこそ、日常生活から集中力を整えることが必要です。
そこで提案したのが、「日常の中での集中トレーニング」。
- 1つの作業に集中する時間をあえてつくる
- 試合前に部屋を整理し、頭の中も整える
- 自主練のルーティンを少しずつ進化させる
Jリーガーたちも実践しているメソッドの一部です。
◆ 次のステップ:夏〜秋にかけての成長戦略
後半戦に向けて、Aくんは以下のアクションプランを立てました:
- 肩・膝のコンディション改善と筋トレ継続
- 午前・午後の練習時間を最適化
- イージーミスの原因特定と対策
- 睡眠習慣の維持(練習2時間前起床)
- 自主練とトレーニングの質・量アップ
- 日常での集中力強化
- 試合前のルーム整理をルーティン化
これらはどれも「特別な才能」ではなく、「意識と仕組み」で再現できるものばかり。現場の指導者がこうした習慣形成を支えることが、選手の継続的成長につながります。
◆ まとめ:成長は“静かに進行する”
目に見える結果よりも、目に見えにくい習慣や意識の変化が、後に大きな差を生む。
コーチとして選手を見るとき、「何が変わってきているか?」に敏感になりたいものです。
これからの後半戦、どんな化学反応が起きるか、楽しみにしています。