「プロを目指す」から「今を楽しむ」へ――ある大学サッカー選手の心のシフト

ある大学サッカー部の選手が、メンタルコーチとの対話の中で、大きな心の変化を語ってくれました。今回はその内容をご紹介します。きっと、今を戦うすべてのアスリートに響くメッセージになるはずです。


◆プロになることがすべてだった

「プロにならなきゃいけない」
「トップチームに昇格しなきゃいけない」
そんな強い想いがあった彼は、いつしか自分の価値を「周囲からの評価」で測るようになっていました。カテゴリー、コーチの言葉、周囲の期待。そこに応えようとすればするほど、心はどんどん疲弊していったといいます。

試合で負けた後、涙が止まらず、吐き気がするほど苦しかったという体験もありました。プロを目指すはずのサッカーが、楽しさとは真逆の存在になっていたのです。


◆「楽しむ」って逃げじゃない

そんな彼が少しずつ変わり始めたのは、「サッカー以外にやりたいこと」を見つけたことがきっかけでした。

映画やアニメ、特撮などの世界にも関心があり、将来は制作の仕事に関わってみたい――。そんなもう一つの夢が芽生えたことで、「サッカーだけがすべて」という執着から少し距離を取ることができました。

その結果、ふと立ち止まり、こんなことを思ったそうです。

「小学生の頃の僕は、ただボールを蹴るのが楽しくて、それだけでよかった。
あの感覚で、もう一回サッカーをやってみようかなって。」


◆熱量は「出そうとして出せるもの」じゃない

彼の言葉で印象的だったのは、「頑張ろうとして頑張ると、かえって周りが気になってしまう」という気づきでした。
サッカーが好きでたまらないから湧き上がる「熱量」は、無理に出すものではないという実感です。

「プロになれなかったら、それはその程度の熱量だったってこと。
自分を責めるんじゃなくて、ただ“そうだった”と受け止められるようになった。」

この境地に至った今、彼はこう語ります。

「今はプレーそのものに集中できてる。コーチの評価も、周りの声も、関係ない。
ボールを蹴る、止める、その一瞬一瞬を“サッカー”として楽しんでいる。」


◆「楽しむ」は本気の証

「楽しむ」と聞くと、気楽な印象を持つかもしれません。でも彼ははっきりと言いました。

「楽しむって、ただヘラヘラすることじゃない。
本気でやって、悔しさも味わって、それでもやっぱりこの競技が好きって思えること。」

苦しさも、涙も、すべて含めて「楽しむ」。それが彼にとっての“楽しさ”の本当の意味だったのです。


◆後輩たちへ伝えたいこと

最後に彼は、一年前の自分にこう伝えたいと語ってくれました。

「一度、“プロになる”“上に行く”っていう目標から離れてみて。
そのうえで、今自分が“楽しめているか”に集中してごらん。
その先に何かが見えてくるから。」


◆おわりに:手放すことで、開ける道がある

今回の彼の変化は、「諦め」ではなく「納得」。
そして、「楽しむ」という姿勢が、結果的に最高のパフォーマンスを引き出していることは、まさに心理学で言う「リソースフルな状態」を体現しています。

このブログを読んだあなたが、もし何かに苦しんでいるとしたら――
一度立ち止まって、「なぜそれをやるのか?」を問い直してみてください。
そこからまた、自分だけの道が始まるかもしれません。

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