コーチングには「なぜ?」より「どうする?」が必要

コーチングにおいて、選手に対するアプローチで重要なのは「なぜ?」ではなく「どうする?」という問いかけです。「なぜできないんだ」ではなく「どうすればできるのか」という方法論を与えることが、選手の成長に繋がります。

「なぜ?」の問いかけがもたらす影響

「なぜできないんだ」「なぜやらないんだ」「何度言えばわかるんだ」と言いたくなることは理解できます。しかし、「なぜ?」という問いかけは、相手にとって責められているように感じられ、心を閉ざす原因となります。実際に、「なぜ?」と問われると多くの人が「だって、○○だから」と言い訳を述べることが多く、建設的な解決策には至りません。

例えば、練習中にドリブルがうまくいかない選手に「なぜドリブルができないんだ?」と聞くと、選手は「だって、相手が強いから」といった言い訳をしてしまうかもしれません。これでは解決策を見つけることができません。

「どうする?」の問いかけがもたらす効果

一方で、「どうしたらいいと思う?」「次はどうする?」と問いかけることで、相手に考えさせ、自ら行動を促すことができます。

例えば、試合中にパスミスが多い選手に対して、「なぜパスミスが多いんだ?」ではなく、「次はどうすればパスミスを減らせるかな?」と聞くと、選手は「もっと落ち着いてボールを見てからパスを出すようにする」といった具体的な改善策を考えるようになります。

「なぜ?」が効果的な場合

「なぜ?」という問いかけも、適切に使えば効果的です。それは、選手が選択したことや挑戦したいことに対して質問する場合です。

例えば、ある選手が新しい技術に挑戦したいと言ったとき、「なぜそれをやりたいと思ったの?」と聞くことで、選手は「もっと試合で活躍できるようになりたいから」と自分の意志や動機を再確認することができます。

ポジティブな言葉の力

言葉の使い方にも注意が必要です。「ミスを恐れるな」ではなく「積極的にいこう」、「手を抜くな」ではなく「最後まで力を出し切ろう」というように、ポジティブな言葉で伝えることが重要です。

例えば、試合前に「ミスが多いから気をつけよう」と言うと、選手は「ミス」という言葉を意識しすぎてしまいます。これを「積極的にプレーしよう」と変えることで、選手の意識が前向きになります。

ゴーレム効果とピグマリオン効果

人は他者から期待された通りの成果を出す傾向があります。これをゴーレム効果とピグマリオン効果といいます。教師が「この生徒は成績が良くない」と思いながら接すると、その期待通りに成績が下がることがあります(ゴーレム効果)。逆に、「この生徒は成績が上がる」と期待をかけると、その期待通りに成果を出すことがあります(ピグマリオン効果)。

サッカーの指導においても、選手に対してポジティブな期待をかけ、褒めることで自己肯定感を高めることが大切です。「ミスをするな」と言う代わりに「慎重にいこう」、「シュートを外すな」と言う代わりに「枠を狙っていこう」と、ポジティブな言葉を使いましょう。

具体例で理解する

例1: ドリブル練習

練習中にドリブルがうまくいかない選手に対して、「なぜドリブルができないんだ?」と聞くのではなく、「どうしたらもっと上手にドリブルできると思う?」と聞きます。選手が「もっと低い姿勢でボールをコントロールしよう」と考え、次の練習に取り組むことができます。

例2: シュートミス

試合中にシュートを外してしまった選手に、「なぜシュートを外したんだ?」と責めるのではなく、「次はどうやって枠に入れる?」と問いかけます。選手が「もっと冷静になってゴールキーパーの動きを見よう」と具体的な改善策を見つけることができます。

まとめ

コーチングでは、「なぜ?」ではなく「どうする?」という問いかけが、選手の成長と自己肯定感を高めるために重要です。ポジティブな言葉を使い、選手が自ら考え、行動することを促しましょう。これにより、選手のレジリエンスと自己肯定感が育まれ、より良い成果を生み出すことができるでしょう。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA