自立しないまま大人になると、家族に何が起きるのか

副題:それは、特別な家庭の話ではありません

はじめに

指導者や保護者の方と話していると、よくこんな声を聞きます。

「今はまだ子どもだから」
「そのうち本人が気づくだろう」

たしかに、多くの問題は時間とともに解決していきます。
でも、ひとつだけ“時間が解決してくれない問題”があります。

それが、自立の問題です。

今日は少し重たいテーマですが、
あえて避けずに書いてみたいと思います。


依存は、ある日突然起きるわけではない

多くの人がイメージする「依存」は、

  • 働かない
  • お酒やゲームに逃げる
  • 周囲に迷惑をかける

こうした“目に見える状態”だと思います。

でも実際には、そのずっと前から
静かに進行している段階があります。

たとえば、

  • 決断を人に任せるのが当たり前になる
  • 失敗すると、強く自分を責める
  • 困ると、誰かが何とかしてくれると無意識に思っている

この状態は、外から見ると
「真面目」「おとなしい」「優しい」
と見えることも多く、問題として扱われません。

だからこそ、気づきにくいのです。


大人になってから表に出る“現実”

自立が育たないまま大人になると、
多くの場合、問題は本人だけで完結しません。

たとえば、

  • 仕事が続かず、家族が生活を支える
  • 親の介護と本人の不安定さが同時に来る
  • 兄弟姉妹との関係がギクシャクする

こうして、
一人の生きづらさが、家族全体の課題になります。

ここが、依存の一番つらいところです。

本人も苦しい。
でも、周りも同じように苦しくなる。

誰かが悪いわけではないのに、
関係だけがすり減っていく。


なぜ「優しい関わり」が逆効果になることがあるのか

多くの家庭や指導現場では、

  • 失敗させないようにする
  • 困らせないように先回りする
  • なるべく傷つけないように守る

こうした関わりが自然に行われます。

でも長い目で見ると、

「自分で立てた」経験がないまま大人になる

という状態を作ってしまうことがあります。

人は、
うまくいった経験よりも、
失敗から立て直した経験で自信を持ちます。

そこを奪ってしまうと、
本人はずっと「自分は一人では無理だ」と感じ続けます。


だから、育成年代の関わり方が決定的に重要になる

自立は、20代になってから急に育つものではありません。

  • 自分で決めた
  • 自分で失敗した
  • それでもやり直せた

この積み重ねが、
「人生を自分で引き受けていい」という感覚を作ります。

指導や子育ての中で、
成績や結果よりも大切なのは、

この子は、自分で選び、立ち直る経験をしているか

ここです。


今日からできる、たった一つの予防行動

もし一つだけ意識してほしいとしたら、これです。

👉 困った時に、すぐ答えを出さないこと

代わりに、

  • どうしたいと思ってる?
  • 何が一番不安?
  • まず何からできそう?

こうした問いを投げる。

時間はかかります。
正直、面倒です。

でもこの時間が、
「自分の人生を自分で動かしていい」という感覚を育てます。


おわりに

依存は、特別な家庭に起きる問題ではありません。
むしろ、真面目で優しい環境ほど起きやすいこともあります。

だからこそ、

問題が起きてから考えるのではなく、
起きないように関わり方を整える

これが、本当の意味での予防だと、私は感じています。

今、関わっている選手やお子さんが、
10年後、20年後に
自分の人生を自分の足で歩いていけるように。

その土台は、今日の関わりの中で作られています。

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