ルーティンがゾーンをつくる
「ゾーンに入る」――。
この言葉を聞くと、つい「特別な才能」や「偶然の神がかり的な瞬間」を想像してしまいます。
でも実は、ゾーンは“再現できる状態”です。
そのカギを握るのが ルーティン(習慣) です。
なぜルーティンがゾーンを呼び込むのか
人間の脳は「予測できる環境」に安心を感じます。
毎回同じ動作や呼吸、言葉を繰り返すと、脳は「これは安全だ」と判断し、不安を感じる扁桃体の働きが静まります。
その結果、判断力や集中を司る前頭前野がスムーズに働き始めるのです。
心理学ではこれを 「自己制御の自動化」 と呼びます。
つまり、ルーティンとは「意識的な集中」を「無意識の集中」に変えるスイッチ。
ゾーンは、整えられた脳から生まれるのです。
(参考:Baumeister, Willpower, 2011)
三笘薫 ― “脳を鎮めるリズム”を持つ男
ブライトンの三笘薫選手(筑波大学出身)は、大学時代から「アップの順番」「靴紐を結ぶタイミング」「呼吸のリズム」を常に同じにしています。
「自分のルーティンを崩さないことで、心を落ち着けて試合に入れる。」
(JFA公式インタビュー, 2023)
ルーティンは、彼にとって“考えすぎの脳”を静めるリズム。
同じ流れをつくることで余計な思考を止め、感覚を研ぎ澄ませる。
脳科学でも、繰り返す行動が神経回路を強化し、自動化されることがわかっています。
(Graybiel, Annual Review of Neuroscience, 2008)
久保建英 ― ルーティンで“感情を制御する”
レアル・ソシエダの久保建英選手も、試合前の流れを決めています。
「ストレッチ → 呼吸 → 音楽」。
どんなときもこの順番を守ります。
「焦ったときほど呼吸をゆっくりにして、気持ちを落ち着かせる。」
(Number Web, 2022)
ゆっくり吐く呼吸は副交感神経を働かせ、心拍数と脳波を安定させる効果があります。
(Nagai et al., Frontiers in Human Neuroscience, 2011)
久保選手にとってのルーティンは、感情を整える神経スイッチ。
そのスイッチを自然に押すことで、ベストパフォーマンスへと導いているのです。
遠藤航 ― “考えない準備”が集中を守る
脳は1日のエネルギーの約20%を使っています。
だから「迷う」「考えすぎる」ほどエネルギーを消耗します。
ルーティンを決めておけば、判断する回数を減らし、脳を“省エネ集中モード”にできるのです。
「試合直前に迷うことをゼロにして、余計なことを考えずに試合に入る。」
(遠藤航『一流の準備力』ダイヤモンド社, 2022)
ルーティンとは、“考えない準備”で集中を守る技術なのです。
君のルーティンをデザインしよう
ゾーンを呼び込むのに、特別な儀式はいりません。
大切なのは、「いつも同じ流れを、意識して繰り返すこと」。
今日からできるステップ
- 試合や練習前に“自分だけの流れ”を決める
- 動作・言葉・呼吸のリズムを毎回そろえる
- 1週間続けてみて、「落ち着く瞬間があるか」を感じ取る
最初は小さなことで構いません。
スパイクを磨く、ボトルを置く位置を決める、深呼吸を一回する。
その小さな繰り返しが「整うリズム」となり、ゾーンを呼び込むのです。
まとめ|ルーティンは“心を整える技術”
三笘選手の静けさ、久保選手の呼吸、遠藤選手の準備。
彼らに共通しているのは、「整える力」を持っていること。
ゾーンは“待つもの”ではなく、“整え続けた日々”の先にふと訪れるものです。
ルーティンとは、その瞬間を迎えるための静かな準備の儀式。
そしてそれは、誰にでもできる「心を整える技術」です。
🔹今日のまとめ一言
ルーティンとは、最高の自分を呼び出す“静かなスイッチ”である。
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