指導者の変化がチームを変える ― コーチングラボの学びから
ある指導者向けセミナーで「チーム変革と自己変革」「信頼関係と対等な関わり」というテーマを取り上げました。そこでは、多くの指導者が共感し、具体的な事例や気づきが共有されました。本記事では、その中からいくつかの印象的な学びを紹介します。
DAY1:チーム変革と自己変革
初回のテーマは「教えるから引き出すへ」。
多くの現場で課題として挙がったのは、以下のような点でした。
- 指導が一方通行になりがち
- 選手が指示待ちになり、自分で考える力が育ちにくい
- 失敗を恐れる雰囲気がある
ある指導者は「息子が初めてゴールを決めて自信を持ち、仲間と喜び合う姿を見たことが、一番嬉しい瞬間だった」と語っていました。
このエピソードから、勝利以上に“子どもの自信と仲間との喜び”が指導の価値の核にあることが浮き彫りになりました。
また、別の指導者は「試合に出られなかった選手が活躍した時」を挙げ、“チャンスを与えて成長を支える”ことに指導の原点を見出していました。
セミナー全体を通じて、**「まず指導者自身が自分軸を言語化することで、意識が変わり行動が変わる。そして選手やチームの変化が生まれる」**という共通の気づきが広がりました。
DAY2:信頼関係と対等な関わり
2回目のテーマは「信頼関係の再構築」。
信頼を支える3要素として、
- 能力への信頼
- 誠実さへの信頼
- 善意への信頼
が示されました。
あるグループの対話では、監督が戦術を選手に問いかけると、選手たちが主体的に議論し、柔軟な結論に至ったという成功事例が共有されました。
一方で「信頼関係がないと、怒られるのではと選手が黙り込んでしまう」という課題も挙がり、**“対等な関わりは権限の放棄ではなく、尊厳の共有”**であることが確認されました。
参加者からは、
- 「問いかけで選手の意識が変わり、次の試合に反映された」
- 「子どもの反応が薄かった時に、自分の問い方に課題があると気づいた」
- 「全員が安心して発言できる場を作ることが大切だと学んだ」
といった声がありました。
共通する学びと次の一歩
DAY1・DAY2を通じて見えてきた共通点は、
- 指導者が変われば、選手が変わる
- 問いかけと対話が選手の主体性を引き出す
- 信頼関係の土台があってこそ、対等な関わりが成立する
ということです。
最後に、参加者それぞれが「小さな一歩」として具体的な行動を設定しました。
例:
- 練習の最初に選手へ質問を投げかける
- 指示を出す前に3秒待ち、選手の意見を聞く
- 試合後の振り返りで「一番楽しかったこと」を共有する
こうした小さな実践が、やがて大きな変革につながっていきます。
✅ まとめ
この学びを通して改めて感じたのは、
「変化は内側から始まり、信頼の積み重ねが選手の自律と成長を支える」
ということでした。
次回は「自律性と内発的動機づけ」をテーマに、さらに一歩深めていきます。