アドラー心理学による効果的な子育て:褒めない・叱らない・教えない・放置しない

思春期の子どもを持つ親にとって、子育ての方法には多くの疑問や課題があるかと思います。特に「褒めない」「叱らない」「教えない」「放置しない」といったアドラー心理学の原則を聞くと、「どうして褒めてはいけないの?」「叱らないと分からないのでは?」という疑問が湧いてくるでしょう。

褒めない理由:コントロールの回避

まず、「褒めない」ことについてです。
アドラー心理学では、褒めることが相手をコントロールする行為とみなされるため、推奨されません。例えば、「今回のテストも100点だったね。お母さんは勉強ができる子が大好き」と褒めると、子どもは親の期待に応えるために勉強しなければならないと感じます。これは子どもの自主性を奪い、親の期待に応えるために行動するようになってしまいます。

一方で、「100点だったの?すごいね!どうやって勉強したの?」と聞くと、子どもは自分の工夫を認められたと感じ、自分の力を信じて行動するようになります。アドラー心理学が重視するのは、子どもが自分を信じてやりたいことを試し、その結果から学び成長することをサポートすることです。

叱らない理由:恐怖心の排除

次に、「叱らない」ことについてです。
叱ることは子どもをコントロールする行為であり、子どもは恐怖心から行動を抑制されることになります。例えば、「なんでこんな点数なの?もっと勉強しろ!」と叱ると、子どもは親の期待に応えようとするか、反発してしまいます。叱られることにより、子どもは恐怖心で行動を制限され、自主的な行動を取らなくなる可能性があります。

さらに、叱ることで子どもの脳機能が低下することもわかっています。「言語理解」「未来予測」「学習」「エラーチェック」などのパフォーマンスが低下し、激しく叱責されると「言われていることがわからなくなる」「このままいくとどうなるか考えられなくなる」「うまく練習できなくなる」「やっていることがあっているのかわからなくなる」といった状態になるのです。これは多くの親御さんにも身に覚えがあるのではないでしょうか。

叱ることのデメリットは、不適切な行動が一時的に減少するかもしれませんが、根本的な解決にはなりません。恐怖心や依存、反発を生むだけでなく、自尊心を傷つけ、他者への信頼感も失わせてしまいます。

結末からの学習:自然・社会的・論理的結末

アドラー心理学では、子どもが自分の行動の結果を学ぶ「結末からの学習」を提唱しています。
これは以下の3つの方法があります:

  1. 自然の結末:子どもが自分の行動の結果を実際に体験することです。例えば、夜更かしして遅刻することで、次回は早く寝るようになるかもしれません。
  2. 社会的結末:親子間で事前にルールを決め、そのルールに基づいて結末が決まることです。例えば、「遅刻した場合は自分で電車で行く」というルールを事前に合意しておくことです。
  3. 論理的結末:子どもに行動の結果を予測させ、その予測を基に行動を選ばせることです。例えば、「夜更かしするとどうなると思う?」と質問し、子どもに考えさせることです。

結論

アドラー心理学では、子どもが自分の行動に責任を持ち、結果から学ぶことを重視します。褒めたり叱ったりするのではなく、子どもが自分の力で問題を解決する力を育てることが大切です。この方法を実践することで、子どもは自信と責任を持ち、他者を尊重しながら協力できる大人へと成長していくでしょう。

アドラー心理学の原則を取り入れた子育て方法をぜひ試してみてください。お子さんの成長をサポートする素晴らしいツールとなるはずです。

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