「自律型チーム」を育てるには心理的安全性と高い基準が必要です。

自律型チームとは

①主体性がある
指示を待って行動するのではなく、自分から行動できるチーム。

②責任感がある
設定した目標に対して自分自身が責任を持ち、粘り強く取り組むことができるチーム。

③自分らしさを出せる
与えられた役割に対して自分の意思や価値観を持っているチーム。

心理的安全性とは

心理的安全性とはチームの中で自分の発言がほかのメンバーに受け入れられることを確信できる状態。エイミー・C・エドモンドソン教授が提唱した概念。

心理的安全性を高めるメリット

①コミュニケーションが増える
心理的安全性を確保すれば、自分の発言が受け入れられるという安心感が得られるので、コミュニケーションが活発になります。

②イノベーションが生まれやすくなる
心理的安全性が高いと自分の考えを発信しやすくなるので、新たなアイデアやプロジェクトが立案されやすくなります。

③多様な人材が集まりやすくなる
心理的安全性が高ければ、発言だけでなく価値観も受け入れられやすくなります。
さまざまな考え方や能力を持つ人材が集まりやすくなるので、チームの可能性が広がります。

心理的安全性が不足しているチームに起こることとは

①無知だと思われる不安
無知だと思われる不安とは、質問や相談した際に相手に「こんなこともわからないのか」と思われてしまうのではないかと不安になることです。この不安があると、質問や相談がしにくくなり、不明点を解消できずミスが生じるかもしれません。十分なコミュニケーションがとれないことが原因で、孤立するメンバーがでる可能性もあります。

②無能だと思われる不安
無能だと思われる不安とは、チーム内で「こんなこともできないのか」と思われるのではないかという不安です。この不安を抱えていると、ミスを報告しなくなったり、自分のミスを素直に認めなくなったりするなどの悪循環に陥ります。

③邪魔をしていると思われる不安
邪魔をしていると思われる不安とは、社内やチームのメンバーから「嫌われているのではないか」「チームの邪魔になっているのではないか」と思われる不安のことです。この不安があると発言が少なくなり、自発性も減退します。ベストなパフォーマンスを発揮しにくくなり、結果的に組織の損失へとつながります。

④ネガティブだと思われる不安
ネガティブだと思われる不安とは、「消極的で否定的な人だ」と思われるのではないかという不安のことです。社内やチームの和を乱さないことに過敏になるため、積極的な発言や建設的意見を述べることを躊躇します。組織やチームが抱えている問題を改善できる能力があっても、それが発揮されないのは大きな損失です。

心理的安全性を高める方法

①指導者やリーダーはメンバーを尊重する
指導者やリーダーは、チームメンバーを尊重することが大切です。まず、メンバー全員を、1人の人間として承認しなければなりません。そして、相手の目を見て会話し、価値観の違いなどを認めましょう。否定や批判は極力避けて、サポート役に徹しましょう。メンバーが、「自分は会社やチームにとって必要な人間である」と認識することが大事なのです。

②1対1の個別面談を取り入れる
1on1で指導者やリーダーとメンバーとの対話を取り入れているチームも少なくありません。1on1を上手く活用することで心理的安全性を高めることが可能です。ただ評価側の指導者やリーダーの前だと、どうしても話しづらいことがあります。また、指導者やリーダーに相談しても親身に話を聞いてくれるのか、不安に思うメンバーもいます。
そういったケースでは、メンタルコーチから話を聴いてもらうことが効果的です。メンバーが悩みを抱え込んでしまうリスクを軽減しやすくなるでしょう。

③メンバー同士で本音を伝え合う
メンバー同士でお互いに本音を伝え合うグループディスカッションも重要です。
グループディスカッションはメンタルコーチ1人に対し3~8人ほどのメンバーで実施することをお勧めしています。1つのテーマについてディスカッションする場合「〇〇しないでほしい」「▲▲してほしい」などの要望が出てくる場合がありますが、メンタルコーチがファシリテーターになることで、メンバー同士が険悪な関係になることなく相手を尊重しながら自分の主張もできるようになります。
また、次のようなメリットもあります。
・メンバーに共通の認識が生まれ、一体感を醸成できる
・一つの課題を複数名で考えるため集合知が生まれる
・活動を通してお互いへの理解が進み、他者への貢献意欲が生まれる

高い基準とは

心理的安全性が高まれば、メンバーはリラックスした状態でコミュニケーションができるようになります。しかし、そもそもミッションやビジョンへの意欲や責任感が欠如しているメンバーは、優しいだけの組織と勘違いする場合もめずらしくありません。そのため「自律型チーム」を育むには、ピッチ内外における高い基準が求められます。高い基準とはミッションやビジョン達成のための約束事です。高い基準についても、グループでディスカッションしながら決めていきます。