「当たり前」の話をしただけなのに、空気が少し変わった― 最近感じている、メンタルコーチの在り方のこと
最近「メンタルコーチとしての在り方」について
自分なりに考える時間が増えています。
何かすごいことを学んだわけでもなく
新しい技法を手に入れたわけでもありません。
ただ
前よりも“出過ぎなくなった”
そんな感覚があります。
これが良いのかどうかは分かりませんが
少なくとも今の自分には
しっくりきています。
セミナーで最初に話してくれたのはOB選手でした
先日、ある育成年代のチームで
メンタルに関するセミナーをさせて頂きました。
と言っても
最初に話したのは自分ではありません。
現在大学1年生のOB選手が、
後輩たちに向けて話をしてくれました。
内容はとてもシンプルで、
- 大学進学では
「何をしたくてその大学に行くのか」が
はっきりしていないと、なかなか大変だよ、という話 - 目的が曖昧だと
苦しい時に踏ん張れないよ、という話
さらに
大学に入って驚いた
「当たり前の基準の違い」についても。
朝7時から練習なら
6時半には集まっているのが普通。
誰かに言われてやる、というより
「そういうもんでしょ」という空気の中で
みんなが動いている、という話でした。
横で聞きながら
「うん、分かる分かる」と
何度もうなずいている自分がいました。
実は、選手たちがあまり知らなかった話
その流れを受けて
自分からは少しだけ
チームの歴史について触れました。
- この学校には長い歴史があること
- 日本サッカー協会ができる前から
サッカーが行われていたこと - 全国大会に何度も出場していること
- そして、
全国優勝を経験した指導者が、
今、目の前にいること
正直に言うと、
これらの話は
これまで選手たちに
あまり語られてきませんでした。
なので、
「初めて知りました」という表情の選手も
結構いました。
(こちらとしては
「え、知らなかったの?」と
心の中でツッコミつつ…笑)
自分がやったのは「段取り」だけ
この場面で自分が意識したのは
何かを教えることではありません。
やったことは、
話す順番を整えただけ。
OBの話があって、
歴史の話があって、
そして指導者の先生方から
当時の話をしてもらう。
才能が特別だったわけではない。
体力や技術が
今よりずば抜けていたわけでもない。
ただ
全国に行くのは当たり前
という感覚で
日常を過ごしていた。
そんな話を
選手たちは
自分の監督・コーチの口から
直接聞くことになりました。
本当に伝えたかったのは、これでした
その後、選手たちに
いくつか問いを投げました。
- 全国に行くのが当たり前のチームは
暇さえあればスマホを見ているだろうか - 使う場所や環境を
どんなふうに扱っているだろうか - 日常で使う言葉は
自分たちを前に進めているだろうか
そして最後に
「全国大会に行きたい人?」と聞くと
全員が手を挙げました。
正直、ここで
自分が一番願っていたのは
「この指導者についていけば、
もしかしたら本当に行けるかもしれない」
そう選手たちが
感じてくれることでした。
だから
用意していた資料の続きを話すのは
やめました。
ここで話しすぎると
せっかく芽生えた大事な感覚を
自分が踏みつぶしてしまいそうで。
セミナー後に見た、ありがたい光景
セミナーが終わったあと
誰かに言われたわけでもなく
数人の選手が自然に部室の掃除を始めていました。
その光景を見て
「今日はもう十分だな」
と、素直に思いました。
たぶん
自分が何を話したかよりも
誰の話を、どう聞いたか
そのほうが大事だったんだと思います。
最近感じていること
最近つくづく思います。
メンタルコーチの役割は、
- 何かを教えること
- 前に出て引っ張ること
だけじゃない。
ときには、
- 語られてこなかった事実を
そっと並べること - 指導者と選手の間にある信頼を
見える形にすること - 選手が
「この人たちについていけば大丈夫そうだな」
と感じられる空気をつくること
そんな裏方仕事のほうが、
よほど意味を持つこともある。
最近の自分は、
そのありがたさを
実感する場面が増えています。
おわりに
これは結論でも、
成功談でもありません。
今の自分の
途中経過のメモのようなものです。
もし今、
- 自分の立ち位置がよく分からなくなっている
- 前に出続けることに少し疲れている
- 「これでいいのかな」と思っている
そんな人がいたら、
こんな在り方もあるよ、
という一例として
読んでもらえたら嬉しいです。
自分も、
まだまだ途中ですから。
