ゾーンを遠ざける“3つの悪習慣”を今すぐやめよう
―― 才能よりも、集中を削る「ノイズ」を減らせ
「集中したいのに、頭がスッキリしない」
「練習に気持ちが入らない」
「試合になるとミスばかり意識してしまう」
そんなとき、原因を“メンタルの弱さ”や“才能の差”だと思っていませんか?
実はそれ、脳が本来の力を出せない状態――つまり「リソースフルじゃない脳」になっているだけなんです。
ゾーンを妨げるのは、才能でも環境でもありません。
それは、あなたの日常に潜む小さな悪習慣です。
1. スマホ依存 ― 集中を分断する最大のノイズ
筑波大学の研究では、スマホを長時間使う学生ほど「集中の持続が難しく」「睡眠の質が低い」ことが確認されています。
(日本心理学会2022年発表より)
通知音が鳴るたび、脳は報酬物質ドーパミンを放出し、「また次の刺激を見たい」と指令を出します。
その結果、集中が細切れになり、脳のエネルギーが漏れ続けるのです。
米国の研究では、一度スマホを触ると再び集中に戻るまで平均23分かかるとも言われています。
(Nir Eyal『Hooked』より)
実践ポイント
- 練習・勉強中は「スマホ禁止ゾーン」をつくる
- SNS通知をオフにして“脳の静けさ”を保つ
- 夜はスマホをベッドから離す
三笘薫選手もSNSを必要最低限にとどめ、
「サッカーに集中できる時間を守るために使い方を意識している」と語っています。
2. 部屋の乱れ ― 外の混乱は、内側の混乱を生む
脳は、目に入る情報をすべて処理しようとします。
だから散らかった部屋は、見ているだけで無意識のストレスを与えます。
机の上のプリント、脱ぎっぱなしの服、開けっぱなしのカバン。
これらは脳にとって「未完了タスク」として認識され、前頭前野(集中を司る部位)のエネルギーを奪います。
(Baumeister, Willpower, 2011)
遠藤航選手は試合前、靴を並べ、荷物を整理してからピッチに立つ。
「準備を整えると、自然に頭も整う」と語る彼にとって、それは“心を整える儀式”なのです。
実践ポイント
- 毎晩、翌日の準備をしてから寝る
- 部屋と心を同時にリセットする
整った空間は、整ったプレーを生みます。
3. ネガティブワード ― 言葉が脳を疲れさせる
「不平」「不満」「愚痴」「泣き言」「悪口」「文句」
――これらの言葉をよく使っていませんか?
脳科学者・林成之氏によれば、脳は否定語を処理できず、
「ミスするな」と言われると“ミス”のイメージだけが強化されるそうです。
(『脳に悪い7つの習慣』幻冬舎, 2009)
また、UCLAの研究(Lieberman et al., 2007)では、
ネガティブな感情語を口にするだけで扁桃体(不安を感じる領域)が活性化し、ストレス反応が高まることが分かっています。
つまり、言葉ひとつで脳のパフォーマンスが下がるのです。
長友佑都選手はこう言います。
「ネガティブな言葉を使った瞬間、体も動かなくなる。だからポジティブな声を出し続けるよう意識している。」
実践ポイント
- 「疲れた」→「よく頑張った」
- 「ムリ」→「試してみよう」
- 「なんで自分だけ」→「次どうする?」
声の質が、チームの空気を変える。
4. 悪習慣を断つコツは「環境スイッチ」
悪習慣は、意志の弱さではなく「環境が引き起こしている」ことが多い。
スマホが目に入るから触る。部屋が乱れているから心も乱れる。ネガティブな会話が多い環境では、自然と同じ言葉が出る。
意志よりも環境を変える――これが一番効果的です。
環境スイッチの例
- 練習・勉強中はスマホを別室に置く
- 机を整える=脳を整える
- ポジティブな言葉を壁に貼る
環境を変えれば、脳は自動的に“集中できる自分”を選び始めます。
まとめ|「整える人」からゾーンに近づく
ゾーンに入るために必要なのは、何かを“足す”ことではなく、余計なものを“減らす”こと。
雑念、ノイズ、悪習慣を取り除いたとき――
脳は静けさを取り戻し、あなた本来の集中が顔を出す。
「整える」とは、心を澄ませること。
ゾーンは、静けさの中から始まる。
