【第1回】理論編:セルフイメージが目標達成を決める
セルフイメージとは何か
「セルフイメージ」とは、簡単に言えば「自分が自分をどう認識しているか」です。
「自分はプレッシャーに弱いタイプだ」
「自分は勝負どころで力を発揮できる」
こうした“自分像”が、無意識のうちに日々の選択や行動を決定づけています。
脳は現状維持を好む
人間の脳には「現状維持バイアス」があります。
新しい行動や挑戦に抵抗を示し、慣れた状態に戻ろうとする性質です。
例えば体重が一定の範囲で安定するのも「自分は◯kgくらい」というセルフイメージに脳が従っているから。努力して減量しても、無意識に元の状態へ戻そうとするのです。
つまり、選手がどれだけ練習しても「セルフイメージ」が変わらなければ結果は大きく変わりません。
セルフイメージがパフォーマンスを左右する
あるJリーガーは「自分はプレッシャーに弱い」というセルフイメージを持っていました。大事な試合で途中出場すると、本来の力を2割も出せないことが続いていたのです。
そこで彼は「プレッシャーに強い選手」をチーム内に見つけ、その選手になりきって試合に入ることを繰り返しました。すると次第にセルフイメージが書き換わり、重要な国際試合ではマン・オブ・ザ・マッチを獲得するほどの活躍を見せるようになりました。
また、フィギュアスケートの羽生結弦選手は「金メダルを授与される場面」を毎日涙を流しながらイメージし続けたと言います。こうした具体的で感情を伴うセルフイメージは、現実を引き寄せる力を持っているのです。
セルフイメージを変える4つの方法
選手のセルフイメージを「理想の姿」へ引っ越しさせるためには、以下の4つの方法が有効です。
- ビジュアライゼーション
五感をフル活用し、理想の自分をイメージする。 - ロールプレイング
憧れの選手になりきり、動作や声のトーンまで真似する。 - 日常の実践
毎日数分間、理想の姿を思い描く習慣を持つ。 - アファメーション
「私はこういう選手だ」と言葉にして自己暗示を繰り返す。
この4つを組み合わせることで、選手の行動や思考は自然と未来の理想像に近づいていきます。
指導者への問いかけ
指導者として、選手にどんなセルフイメージを育んでほしいでしょうか?
セルフイメージは「努力量」や「技術練習」と同じくらい、いやそれ以上に選手の成長を決める要素です。
👉 次回は【第2回 実践編】として、実際のワークや選手の声を紹介しながら「価値観を基盤にした未来像の描き方」をお届けします。