チームの成長を導く「素直さ」の力
〜メンタルコーチングセッションから見えた指導の本質〜
今回は、とあるクラブチームで行ったメンタルコーチングセッションの様子を紹介します。テーマは「チーム目標」と「人間性の育成」。話し合いを通じて見えてきたのは、サッカーの勝敗を超えて大切にすべき“人間的成長”でした。
① 気持ちを色で表現する演習からスタート
セッション冒頭では、参加者に「今の気持ちを色で表す」ワークを行いました。
- 「空色」=やっと会議ができた安堵感
- 「赤」=練習に向けて燃えている気持ち
- 「グレー」=仕事とサッカーの両立で忙しい状態
色で表現することで、互いの今の心理状態を理解し合うことができました。これはチームの“空気”を共有するためのシンプルで効果的な方法です。
② チーム目標は「勝つこと」だけでいいのか?
次に議論となったのは「チームの目標設定」。
- 「結果を出す」だけではなく、
- 「人間的成長」も並行して育むべきではないか。
最終的に、「結果目標」と「人間性の成長」両方を含めた目標が必要という合意に至りました。
③ サッカー指導における人間性の価値
議論の中で特に強調されたのは以下の3つの要素です。
- 素直さ:人の話を受け入れ、変化を恐れない心
- 謙虚さ:仲間や相手を尊重する姿勢
- 向上心:常に学び、挑戦し続ける態度
あるJリーグアカデミーのコーチも「成功する選手の共通点はこの3つ」だと語っていたそうです。技術以前に、人間性こそが長期的な成長の土台となります。
④ 子どもたちとの関係性をどう築くか
「子どもが本音を話せる関係性」こそ、指導者がまず取り組むべき目標です。
- 練習後に気さくに話しかけてくる
- 試合で失敗した時に仲間を慰める
こうした日常の小さなやり取りの中に、人間的成長の芽が隠されています。指導者が“存在承認”を示すことで、子どもたちは安心して挑戦できるようになります。
⑤ チーム文化として「素直さ」を育てる
最終的に、今回のセッションでは チームのテーマを「素直さ」とする ことで合意しました。
また、行動指針として次のような取り組みを進めることを決めました。
- 子どもたちが挨拶の意義を考え、自発的に行動できるよう促す
- 勝ち負けよりも「楽しくプレーできる環境」を大切にする
- 指導者同士、子ども、保護者とクラブの目標を共有する
まとめ:サッカーを通じて育つ「非認知能力」
テストの点数では測れない“非認知能力”――素直さ、謙虚さ、向上心は、社会に出てから大きな差を生む力です。特に40歳以降、その格差は顕著になると言われています。
サッカーの現場は、その力を育む最高の場です。
指導者も保護者も「子どもをどんな人間に育てたいのか」という視点を持ち続けたいですね。