【指導者向け】「何も足りない」から始まる挑戦 〜ある大学サッカー部選手の成長プランニング〜

先日、ある大学サッカー部の選手との1対1のメンタルセッションで、こんな言葉を聞きました。

「自分には、何一つ足りていないんです。」

トップチームに昇格して間もない彼は、試合経験を重ねながらも、自分の実力の足りなさを痛感していました。そして、夏の中断期間を「自分を変える絶好の機会」として捉え、自ら成長戦略を立てたのです。

このブログでは、そのプロセスを紹介しつつ、指導者がどのように選手の主体的な成長を支援できるかを考えていきます。


1.目標を「言語化」する力を育てる

彼が最初に取り組んだのは、「競技力の構成要素を可視化し、現状と目標を数値で整理する」ことでした。

  • 体力(現状6点 → 目標9点)
  • 技術(3点 → 6点)
  • メンタル(5点 → 9点)
  • 戦術理解・イメージ力(4点 → 7点)

さらにメンタルは「強気・冷静さ・集中・楽しむ・緊張」の5要素に分解し、それぞれの課題を明確にしました。

▶指導者のヒント:
選手自身が「何を伸ばしたいのか」「どこが弱点なのか」を言葉にできるようサポートしましょう。


2.「時間軸」と「テーマ」でプランニングする

彼は、自分で立てた8つのアクションプランを、7月〜翌年3月までの時間軸に当てはめ、「いつ・何に集中するか」を決めていました。

例:

  • 【フィジカル強化】夏場はスタミナ強化、冬は瞬発系トレーニング
  • 【技術向上】時間が取れる夏に集中して取り組む
  • 【戦術理解】通年で週2試合のプロの試合を観戦
  • 【メンタル強化】日々のルーティンで集中力と冷静さを保つ

▶指導者のヒント:
「すべてを常に頑張る」は非効率です。期間ごとにテーマを絞って目標設定をサポートしましょう。


3.メンタルは“行動”で鍛えるもの

彼は、メンタルを高めるために「トレーニング前に意識するポイントをノートに書く」「部屋を毎日整える」「試合後に良かった点を書き出す」といったルーティンを実践していました。

これは、「意識の継続→行動の変化→感情の安定」という、実践的なメンタルトレーニングの好例です。

▶指導者のヒント:
“心”は鍛えられる。特別な時間ではなく、日常の習慣の中で「心を育てる仕組み」を一緒に考えましょう。


4.“未来の自分”を具体的に描けるか?

彼が最後に描いたのは、「来シーズンの開幕戦でスタメンを勝ち取っている自分」の姿。その場所や観客の声援、電光掲示板に映る名前まで、リアルに思い描いていました。

この“未来の臨場感あるイメージ”こそが、日々のトレーニングに魂を込める原動力になります。

▶指導者のヒント:
選手が「その先の景色」をリアルに描けるよう、問いかけと対話を大切にしてください。


まとめ:選手の“設計力”を育てよう

今回のセッションから学べることは、選手のやる気や能力を引き出すには、「自己理解」と「具体的な成長設計」が不可欠だということです。

指導者として、「選手自身が目標を設定し、行動に落とし込む力」を育てること。それこそが、主体性ある選手を育てる最短ルートです。

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