指導者のための感情対処法:感情のボールを受け取らない
サッカーの指導現場では、時に選手や保護者、あるいはスタッフから、
思いもよらない“強い言葉”や“理不尽な要求”を受けることがあります。
- 「あのコーチのせいで調子が悪くなった」
- 「なんでうちの子だけ使ってくれないんですか?」
- 「あのミスを見逃すのは甘い!」
もちろん建設的な意見もありますが、なかには明らかに感情をぶつけているだけのような言動もありますよね。
こうしたケースの多くに共通するのが、「投影(とうえい)」という心理現象です。
🔍「投影」とは?
自分の不安やイライラ、劣等感など“内側の感情”を、無意識に他人にぶつけてしまう心の働き。
つまり相手は、本当は自分自身に向けるべき感情を、あなたに投げてしまっているのです。
✅指導者として知っておきたい「投影を受けたときの3つの対処法」
① 「感情のボール」を受け取らない
相手の言葉が感情的すぎるときは、まずこう思ってください:
「これは私に向けているようで、実は相手自身の問題なんだ」
感情をボールだとすれば、受け取るかどうかは自分で決められます。
すべてを真に受ける必要はありません。
② 状況を冷静に“実況中継”する
相手が感情的になっているときは、反論ではなく、
事実ベースで「今、起きていること」を淡々と返すのが効果的です。
たとえば:
- 「おっしゃる通り、今日は出場時間が短くなりました」
- 「そのことについては、試合後に説明の時間をとりますね」
共感も反論もせず、“落ち着いた実況中継”が、相手の感情を自然にクールダウンさせます。
③ 「一晩寝かせてから考える」
感情の矢を受けた直後は、自分も冷静ではいられません。
そんなときはすぐに返答せず、「いったん持ち帰る」選択肢を持ちましょう。
- 「ありがとうございます。少し考えてから、あらためて話させてください」
これだけでも、感情に巻き込まれず、自分の軸を守ることができます。
🧘♂️まとめ
投影は、感情のぶつかり合いではなく、
心の整理ができていない人が、他者を“鏡”として使っている状態です。
だからこそ、反応せず、流されず、
“静かな姿勢”で立つことこそ、指導者としての影響力につながります。
相手の言葉は、自分の責任とは限らない。
でも、それにどう応じるかは、完全に自分の選択。
現場での実践に、少しでも役立てていただけたら幸いです。