能力だけでは、人は動かない

中学1年生のオリエンテーションで、こんな場面がありました。

「どんなクラスがいいと思う?」

そう問いかけると、たくさんの手が上がりました。

「ジャイアンが多いクラスがいいと思います」
「いや、のび太の方が平和でいいと思う」

…なるほど、そっちで来るか。

こちらとしては、できれば「しずかちゃん(話し合える)」に寄せたい。
でも生徒たちは、遠慮なく自分の世界観をぶつけてくる。

この時点で、すでにいい空気です。


能力だけでは、クラスは変わらない

教育の現場では、どうしても「何を教えるか」に意識が向きます。

・どんな理論を伝えるか
・どんなスキルを身につけさせるか

もちろん大切です。

ただ、今日のセミナーで一番効いていたのはそこではありません。

むしろ

「まだ何も教えていない時間」

ここでした。


最初にやったこと

「クラスに不安がある人、目をつぶって手を挙げてみて」

すると、ほとんどの生徒が手を挙げる。

…いや、ほぼ全員です。

(さっきまで元気にしゃべってたやん、とは思いましたが)

でもこの瞬間、空気が変わります。

「あ、自分だけじゃないんだ」

この“ちょっとした安心”が、実はかなり大きい。


安心があると、本音が出る

その後のワークで

「最近イラッとしたことある?」

と聞いたときです。

ある生徒が言いました。

「電車で、正直、殺意が湧きました」

なかなかパンチのある表現です。

普通なら止めたくなるところですが

ここで否定しない。

「いいね」

と受け止める。

するとどうなるか。

場が一気に“本音モード”に入る。


ドラえもんで考えてみる

ここで少しだけ整理です。

人のコミュニケーションは、大きく4つに分かれます。

・ジャイアンタイプ(自分は言う、相手は無視)
・のび太タイプ(自分は言えない、相手優先)
・スネ夫タイプ(空気は読むけど本音は出さない)
・しずかちゃんタイプ(自分も相手も大事にする)

さて、どのクラスがいいでしょうか。

さっきの生徒たちの答えはバラバラでした。

でも、ここが面白いところで


どのタイプも、最初から“悪い”わけではない


ジャイアンも、不安が強ければああなるし
のび太も、安心が足りなければそうなる


つまり


行動の問題ではなく、状態の問題


なんです。


そして、やっと動き出す

最後にやったのが

「ショートパス」

挨拶+名前+一言

たったこれだけです。

でも

・立ち上がる
・声をかける
・名前を呼ぶ

これを5分やると

クラスの空気が、明らかに変わる。


能力 × 在り方

今回のセミナーを一言でまとめると

能力だけでは足りない。
在り方だけでも足りない。


能力(構造)

・分かりやすく伝える
・場を設計する
・行動に落とす


在り方(安心)

・否定しない
・コントロールしない
・ちょっと見守る

(ここ、意外と一番むずかしいです)


この2つが重なったとき

人は自然に動き出す。


安心起点モデル

私はこれを

「安心起点モデル」

と呼んでいます。


流れはシンプルです。

① 安心をつくる
② 本音が出る
③ 理解が深まる
④ 小さな行動に落とす


逆に言うと

いきなり④をやろうとすると

だいたい空回りします。

(昔の自分です)


最後に

良いクラスは

誰かが作ってくれるものではありません。


一人ひとりの、小さな行動の積み重ね


そしてそのスタートは


「ちょっと話しかけてみようかな」


このレベルでいいんです。


完璧じゃなくていい。
うまく話せなくてもいい。


ちょっとだけ勇気を出す。


その前に


安心できる空気をつくる。


これが、すべての土台になります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


Search

Popular Posts

Categories

Tags

PAGE TOP