― メンタルは「気合」より「小さな行動」で変わる ―
「声を出した方がいいのは分かっているけど、出せない」
「人間関係が気になって、プレーに集中できない」
育成年代の選手から、こうした相談を受けることはとても多いです。
今回は、そんな悩みを抱えていたある高校1年生の選手(A君)が、
3回のセッションを通して少しずつ“チームの中での立ち位置”を変えていった事例をご紹介します。
(※本人が特定されない形で、内容は一部調整しています)
スタート地点:人間関係と環境のストレス
彼は高校から本格的にサッカーを始めた選手でした。
中学時代は学校生活でうまくいかなかった経験もあり、
新しい環境には人一倍緊張しやすいタイプ。
入学後は寮生活もスタートしましたが、
- 私物を勝手に使われる
- 嫌なことがあっても強く言えない
- 少しずつストレスが溜まっていく
そんな状況が続き、心も体も余裕がなくなっていきました。
チームでも
「見下されている気がする」
「ミスすると責められているように感じる」
と感じる場面が増え、プレーもどんどん萎縮していったそうです。
視点の転換:「いじめ」や攻撃の背景にあるもの
最初のセッションで整理したのは、
「なぜチームで攻撃的な関わりが起きるのか」という構造でした。
ここで共有したのが、劣等感のメカニズムです。
人は、自信がないときほど
・他人を下げて安心しようとしたり
・強い言葉で相手を責めて自分を守ろうとしたり
することがあります。
つまり、
攻撃されているように感じる場面でも、
実は相手の“心の弱さ”が表に出ているケースも多い。
この話を聞いた彼は、
「全部自分が悪いわけじゃないんだ」
と、少し肩の力が抜けた表情になりました。
小さな行動実験:「声出し」をセルフプロテクトに使う
次に取り組んだのが、声出しの実験です。
ただし目的は、
「チームを盛り上げろ!」ではありません。
狙いはもっとシンプルで、
声を出すことで、自分の存在を守る
→ 心理的なバリアを作る
という考え方です。
最初は
- 「ナイス!」
- 「いこう!」
といった短いポジティブな声からスタート。
練習では反応が薄いこともあり、
「本当に意味あるのかな…」と不安もあったそうです。
でも試合では、
「今の声、助かった」
「分かりやすかった」
と声をかけられる場面が出てきました。
本人の言葉が印象的でした。
声を出せないと、ちょっと寂しい感じがするけど
出せた時は、自分が少し強くなれた気がします
行動が変わると、心の感覚も少しずつ変わっていく。
まさにその瞬間でした。
気づけば「声を出す側」の5人の中に
3回目のセッションでは、学年全体の雰囲気についても話題になりました。
1年生は30人弱。
その中で積極的に声を出しているのは、キャプテンを含めて5人ほど。
そして彼は、すでにその「声を出す側」の一人になっていました。
ここで本人に伝えたのは、こんな言葉です。
もうA君は、守られる側じゃなくて
チームを支える側に入ってるよ
不登校を経験したり、自信を失った時期がある選手ほど、
自分の成長を過小評価しがちです。
だからこそ、
事実ベースで立ち位置を言語化してあげることは、とても大切だと感じています。
チームは「全員」を変えなくていい
彼は同時に、こんな不安も口にしました。
「でも、チーム全体はあまり雰囲気が良くなくて…」
ここで大事なのは、
“全部背負わせないこと”です。
チームが変わるときは、
- 上位2割がまとまって少しずつ動き始める
- その空気がじわっと広がる
という形がほとんどです。
全員を変えようとしなくていい。
まずは近くの2〜3人で十分。
そこで次のステップとして、
- キャプテン
- 副キャプテン
- A君自身
この3人で、声出しや雰囲気づくりについて話してみよう、という小さなミーティングも計画しました。
「1人で頑張らない形」を作ることも、メンタル面ではとても大切です。
メンタルは「気合」より「設計」で変わる
このケースで改めて感じたのは、
- 気持ちを変えようとしなくていい
- 先に“できる行動”を設計する
- 心はあとからついてくる
ということです。
いきなり自信を持てなくてもいい。
でも、
- どんな声を
- いつ
- 誰に
これが決まれば、行動は再現できます。
そして行動が続けば、
「自分はやれている」という感覚が育っていく。
メンタルは、才能ではなく育てられるスキルだと、私は本気で思っています。
もし今、同じように悩んでいる選手・保護者の方へ
もし今、
- チームで声が出せない
- 人間関係がしんどい
- 自分に自信が持てない
そんな悩みを抱えている選手や保護者の方がいれば、
ひとりで抱え込まず、気軽にご相談ください。
状態に合わせて、
「今できる一歩」を一緒に整理していきます。
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最後に
彼はまだ成長の途中です。
これから壁にぶつかることも、きっとあります。
でも、
「自分で一歩踏み出せた経験」
「チームの中で役割を持てた感覚」
この2つは、これから先のサッカー人生でも、
きっと彼を支えてくれるはずです。
これからも、結果だけでなく、
成長のプロセスそのものを大切に支えていきたいと思います。
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