他人軸から自分軸へ戻る5段階プロセス

人は、いつも同じ状態で動いているわけではありません。

不安で動く時もあります。
人の評価を気にして頑張る時もあります。
違和感に気づき、立ち止まる時もあります。
安心が芽生え、自分の意思で動き始める時もあります。

リバウンドメンタリティーは、
一気に身につくものではありません。

崩れた時に自分の状態に気づき、
少しずつ整えながら、
他人軸から自分軸へ戻っていく。

その変化の道しるべとして、私は5段階プロセスを大切にしています。


第1段階 不安で走る

最初の段階では、人は不安を燃料にして動いています。

怒られたくない。
失敗したくない。
評価を下げたくない。
期待に応えなければいけない。

一見すると、頑張っているように見えるかもしれません。

けれど、心の中では緊張が強くなり、視野が狭くなりやすくなります。
ミスを恐れ、周りの目を気にし、自分の判断よりも他人の評価に引っ張られます。

この状態が続くと、集中力も安定しません。
うまくいっている時は走れますが、失敗やプレッシャーがかかった瞬間に崩れやすくなります。


第2段階 違和感に気づく

次の段階では、自分の中にある違和感に気づき始めます。

なんだか苦しい。
楽しくない。
本当は違う気がする。
このままでいいのだろうか。

この違和感は、悪いものではありません。

むしろ、自分の心が教えてくれているサインです。

これまで無意識に走っていた人が、
「自分は何を燃料にして動いているのか」
に気づき始める段階です。

ただし、この段階ではまだ整理できていないことも多くあります。
不安も残っています。
迷いもあります。

大切なのは、違和感を消そうとすることではなく、
まずその違和感に気づくことです。


第3段階 立ち止まる

違和感に気づいたら、次に必要なのは立ち止まることです。

立ち止まるとは、あきらめることではありません。
弱くなることでもありません。

今の自分の状態を確認することです。

何に不安を感じているのか。
何を守ろうとしているのか。
どんな思い込みに縛られているのか。
本当は何を大切にしたいのか。

ここで、自分の心の声を言葉にしていきます。

人は、言葉にできないものに振り回されます。
逆に、言葉にできたものは、少しずつ整理できます。

立ち止まる時間があるから、次の一歩を自分で選び直すことができます。


第4段階 安心が芽生える

自分の状態に気づき、言葉にできるようになると、少しずつ安心が芽生えてきます。

自分は不安を感じていたんだ。
完璧でなくてもいいんだ。
失敗しても、また戻ればいいんだ。
誰かに相談してもいいんだ。

安心が生まれると、人はようやく周りを見る余裕を取り戻します。

仲間の声が届く。
指導者や先生の言葉が入る。
次にできることを考えられる。
自分を責め続けるのではなく、行動に戻れる。

安心は、甘さではありません。

安心があるから、人は挑戦できます。
安心があるから、基準に向き合えます。
安心があるから、失敗した後にもう一度戻ることができます。


第5段階 楽しいから動く

最後の段階では、人は外から押されなくても動けるようになります。

怒られたくないからではなく、
評価されたいからでもなく、
誰かに認められるためだけでもなく。

自分が大切にしたいことに向かって動く。
成長そのものを楽しむ。
仲間と一緒に良くなっていくことを喜べる。

この段階では、集中力も安定しやすくなります。

なぜなら、心の燃料が不安ではなく、
納得感や好奇心や成長への意欲に変わっているからです。

これは、いつも楽しい気分でいるという意味ではありません。

苦しい時もあります。
悔しい時もあります。
うまくいかない時もあります。

それでも、自分の軸に戻ることができる。
次の一歩を選ぶことができる。

それが、リバウンドメンタリティーの育っている状態です。


5段階は、上下を競うものではありません

この5段階は、人を評価するためのものではありません。

「自分は第1段階だからダメだ」
「第5段階にいなければいけない」

そう考える必要はありません。

人は誰でも、状況によって揺れます。

試合前は第4段階にいたのに、ミスをした瞬間に第1段階に戻ることがあります。
仕事では落ち着いていても、人間関係では不安で走ってしまうことがあります。
家庭では安心していても、職場では評価を気にしすぎることもあります。

大切なのは、今どの段階にいるかに気づくことです。

気づければ、戻ることができます。


指導者、先生、保護者、上司にできること

周りの大人にできることは、相手を無理に変えることではありません。

今、その人はどの燃料で動いているのか。
不安で走っているのか。
違和感に気づき始めているのか。
立ち止まる時間が必要なのか。
安心があれば動き出せるのか。

その状態を見立てることです。

そして、必要な関わり方を選ぶことです。

不安で走っている人に、さらに強い言葉をかけると、余計に視野が狭くなることがあります。

違和感に気づいている人には、すぐに答えを教えるより、話を聴くことが必要な場合があります。

安心が芽生えている人には、次の小さな挑戦を一緒に決めることが力になります。

5段階プロセスは、相手を分類するためではなく、関わり方を整えるための地図です。


崩れても戻れる人とチームを育てる

強い人とは、崩れない人ではありません。

崩れた時に、
自分の状態に気づき、
心を整え、
必要な声を受け取り、
次の行動に戻れる人です。

強いチームとは、ミスをしないチームではありません。

ミスをした時に、
責め合うのではなく、
声をかけ合い、
基準に戻り、
次のプレーに向かえるチームです。

5段階プロセスは、
そのためのシンプルな道しるべです。

育成年代スポーツ、学校現場、企業研修、個人セッションのすべてにおいて、
私はこの視点を大切にしています。


まずは、今の段階に気づくところから

今、自分はどの燃料で動いているのか。
今、チームや組織はどの状態にあるのか。
今、子どもや選手や社員は、どんな不安を抱えているのか。

まずは、そこに気づくことから始まります。

すぐに変えようとしなくても大丈夫です。

気づくこと。
言葉にすること。
小さく整えること。
次の一歩を選ぶこと。

その積み重ねが、崩れても戻れる人とチームを育てていきます。

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